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プレスリリース  参考資料(背景、詳細、今後の展開図1、図2、表1

プレスリリース
平成20年7月7日
(独)農業生物資源研究所
(社)農林水産先端技術産業振興センター
        農林水産先端技術研究所
富山県農林水産総合技術センター農業研究所

コメの大きさを決める遺伝子を発見!日本のお米の起源に新説!


農業生物資源研究所では、農林水産先端技術産業振興センター農林水産先端技術研究所や富山県農業研究所と共同で、お米の粒の幅の決定に関与する遺伝子の一つである、qSW5遺伝子を発見しました。

お米の粒の形や大きさは、イネの収量に影響するため、農業にとって重要な形質ですが、どのような遺伝子がお米の粒の形や大きさを決めているかは今まで殆ど知見がありませんでした。今回、お米の粒の幅の決定に関与するqSW5遺伝子を世界で初めて発見し、qSW5が野生イネの栽培化の過程で遺伝子機能を失うことで、日本のお米(ジャポニカイネ)の外側のもみのサイズが約2割増大し、その結果、ジャポニカイネの米粒の幅が大きくなったことを明らかにしました。

さらに、様々な地域で栽培されていた約200種の古いイネ品種でqSW5の機能の有無等の遺伝子の変化を調査した結果、従来の学説(長江起源説)とは大きく異なり、ジャポニカイネの起源は東南アジアで、そこから中国へ伝わり、そこで温帯ジャポニカイネが生まれたことを示す結果が得られました。

今後、qSW5遺伝子を利用することで、インディカイネの収量性の向上が期待されるとともに、イネの栽培化の進化の過程をDNAの変化から追跡出来ることを示しました。この成果は、2008年7月7日午前2時(日本時間)に、Nature Geneticsのonline版で公開されます。

この成果は、農林水産省からの受託研究である、「有用遺伝子活用のための植物(イネ)・動物ゲノム研究」(H16~H17)、「ゲノム育種による効率的品種育成技術の開発」(H18~H19)、「新農業展開ゲノムプロジェクト」(H20~)で進められてきた研究からの成果です。


Deletion in a gene associated with grain size increased yields during rice domestication
Ayahiko Shomura, Takeshi Izawa, Kaworu Ebana, Takeshi Ebitani, Hiromi Kanegae, Saeko Konishi & Masahiro Yano       Published online: 06 July 2008; | doi:10.1038/ng.169


【問い合わせ先】
研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長石毛 光雄
代表研究担当者:(独)農業生物資源研究所基盤研究領域
植物ゲノム研究ユニット 主任研究員
井澤 毅
電話:029-838-7446、電子メール:tizawa@affrc.go.jp
広報担当者:(独)農業生物資源研究所 広報室長新野 孝男
電話:029-838-8469


【掲載新聞】 7月7日月曜日:日本農業新聞、日本経済新聞、朝日新聞、産経新聞、産経新聞(大阪)、東京新聞、日経産業新聞、化学工業日報、毎日新聞(夕刊)、7月9日水曜日:農業共済新聞)、7月11日金曜日:科学新聞、7月27日日曜日:読売新聞

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