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プレスリリース
平成21年8月25日
独立行政法人 農業生物資源研究所

フィトクロムがないと植物は赤色光を感じられない

- フィトクロムが植物の唯一の赤色光受容体であることを初めて証明 -


ポイント
  • 植物の生長に大きく影響する光は、主に赤と青の2色であるが、植物が赤色を感知する唯一の光受容体がフィトクロムであることを初めて証明
  • フィトクロムは、光合成を効率よく行い、適切な時期に開花するのに必須
  • これまで光との関連が殆ど知られていなかった耐病性等の現象を解明するための新たな切り口となることが期待

概要                                                                                            

農業生物資源研究所は、フィトクロムが植物の唯一の赤色光受容体であることを初めて証明しました。

光は光合成のエネルギー源として植物の生存に必須です。そのため、地面に根を下ろして移動することができない植物は、自分の置かれた光環境を認識して、最も効率よく光を受け取れるように形態を変化させます。フィトクロムは、このような外界からの光の情報を受け取るために必要な光受容体の一種です。

フィトクロムが赤色光を受容することは古くから知られていましたが、「フィトクロム以外に赤色光受容体は無いのか?」、「フィトクロムは植物の生存に必須なのか?」、などの疑問に対しては、これまでフィトクロムを完全に欠損した植物が無かったので、答えることはできませんでした。そこで、私たちはまず、イネに3種類あるフィトクロム遺伝子の機能を欠いたそれぞれの変異体イネを見つけ、それらを交配して変異を集積することにより、フィトクロムの機能が完全に失われた植物(フィトクロム三重変異体イネ)を作製することに世界で初めて成功しました。イネのフィトクロム三重変異体を、赤色光の下で育てると暗黒中で育てたのと同じ"もやし"になることから、三重変異体は赤色光を感知しないことが分かりました。また、圃場で育てるとこの変異体は矮性で非常に開花が早まり、しかもほとんど種が付きませんでした。したがって、フィトクロムは植物の唯一の赤色光受容体であること、フィトクロムはイネの生存には必須ではないが、効率よく光合成を行い、子孫をたくさん残すために重要な役割を果たしていることが明らかになりました。

この成果の概要は、2009年8月12日(米国東時間)に米国科学アカデミー紀要のオンライン版で公開されました。

予算:農林水産省委託プロジェクト「新農業展開ゲノムプロジェクト」(平成20〜24年度)
参考資料 [PDFファイル:407キロバイト]

Makoto Takano, Noritoshi Inagaki, Xianzhi Xie, Seiichiro Kiyota, Akiko Baba-Kasai, Takanari Tanabata, and Tomoko Shinomura
Phytochromes are the sole photoreceptors for perceiving red/far-red light in rice
PNAS published online before print August 12, 2009, doi:10.1073/pnas.0907378106

問い合わせ先など                                                                            

研究代表者 (独) 農業生物資源研究所 理事長石毛光雄
研究推進責任者 (独) 農業生物資源研究所 植物科学研究領域長飯  哲夫
研究担当者 (独) 農業生物資源研究所 前光環境応答研究ユニット長高野  誠
    (現農林水産技術会議研究調整官)
(独) 農業生物資源研究所 光環境応答研究ユニット主任研究員稲垣言要
電話番号:029−838−7074、電子メール:ninagaki@nias.affrc.go.jp
主任研究員清田誠一郎
主任研究員馬場晶子
特別研究員七夕高也
(株) 日立製作所 主任研究員篠村知子
広報担当者 (独) 農業生物資源研究所 広報室長新野孝男
電話番号:029−838−8469


【掲載新聞】 8月28日金曜日:化学工業日報、8月29日土曜日:常陽新聞

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