トップページ > プレスリリースリスト > チョウ目昆虫のゲノム構造の類似性が明らかに
チョウ目昆虫のゲノム構造の類似性が明らかに- 新たな農薬開発につながることが期待 -ポイント
概要(独)農業生物資源研究所は、フランス国立農学研究所(INRA)などの研究グループとともに2種類のチョウ目害虫ゲノムの一部を解読しました。その結果、チョウ目害虫とカイコの遺伝子の並び方はほぼ同じであることがわかり、カイコのゲノム情報がチョウ目害虫の遺伝子同定に有用であることを明らかにしました。 ヨトウムシ(ヨトウガの幼虫)などのチョウ目害虫は、農薬抵抗性を獲得しやすく農業上大きな問題となっています。今回、2種類のチョウ目害虫(オオタバコガ及びツマジロクサヨトウ)のゲノムを解読してカイコゲノムと比較したところ、遺伝子の並び方がほぼ同じであることがわかりました。この結果は、カイコゲノム情報を利用すればチョウ目昆虫の遺伝子同定が容易になることを示しています。今後、カイコのゲノム情報を利用して、チョウ目害虫の防除に有効な新規の農薬開発などが進むと期待されます。一方、カイコと2種類のチョウ目害虫のゲノムを詳細に比べてみると、遺伝子間の距離、遺伝子の向きや増幅数に多くの違いがあることがわかりました。狭い領域でのゲノムの変わりやすさが、様々な環境への適応性を向上し、チョウ目昆虫の多様性を生み出す原因となっている可能性が明らかになりました。 農業生物資源研究所は、平成18年12月にINRAと共同研究に関する覚書(MOU)を締結し、カイコ以外のチョウ目昆虫のゲノム情報の取得とカイコゲノムとの比較解析及びその利用に関する研究を日仏共同で進めてきました。今回の研究成果は、その一部を2010年4月13日に米国科学アカデミー紀要(PNAS)で発表したものです。 予算:農林水産省委託プロジェクト「アグリ・ゲノム研究の総合的な推進(昆虫ゲノム)」(平成19-23年度) 参考資料 [PDFファイル:354キロバイト]
E. d'Alençon*, H. Sezutsu*, F. Legeai, E. Permal, S. Bernard-Samain, S. Gimenez, C. Gagneur, F. Cousserans, M. Shimomura, A. Brun-Barale, T. Flutre, A. Couloux, P. East, K. Gordon, K. Mita, H. Quesneville, P. Fournier, and R. Feyereisen *equal contribution
Extensive synteny conservation of holocentric chromosomes in Lepidoptera despite high rates of local genome rearrangements OPEN ACCESS ARTICLE Proceedings of the National Academy of Sciences April 27, 2010 vol. 107 no. 17 7680-7685 Published online before print April 13, 2010, doi: 10.1073/pnas.0910413107 問い合わせ先など
【掲載新聞】 5月24日月曜日:化学工業日報、5月31日月曜日:日本経済新聞、6月4日金曜日:日本農業新聞、6月8日火曜日:日経産業新聞、7月23日金曜日:朝日新聞 トップページ > プレスリリースリスト > チョウ目昆虫のゲノム構造の類似性が明らかに | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||