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生物研
プレスリリース
平成26年12月25日
独立行政法人農業生物資源研究所

不要な配列を残さない遺伝子改変技術をイネで開発

−植物では世界で初めて実現−

ポイント
  • イネにおいて、不要な配列を残さずに遺伝子を改変する技術を確立しました。
  • この技術は、昆虫由来の「動く遺伝子」を用いることで実現しました。この手法を植物に応用したのは、生物研が世界で初めてです。
  • この技術を、コムギ、オオムギ、トマト等でも使えるように取り組んでいます。
概要
  1. イネでは、細胞外から導入したい遺伝子を、標的とする遺伝子と置き換えるジーンターゲティングという手法が確立しています。この手法の適用範囲は広いものの、遺伝子が置き換えられたことが分かるような選抜の仕組み(選抜のための目印を一旦挿入すること)も必要でした。選抜後は、この目印は必要ないため取り除きますが、余分な塩基配列が残ってしまい、期待する効果が得られない可能性があることが課題でした。
  2. 今回、農業生物資源研究所(生物研)は、昆虫由来の「動く遺伝子」を利用することで、余分な塩基配列を残すことなく、目印をイネのゲノムから完全に除去することに成功しました。この「動く遺伝子」が、イネのゲノム上でも動くことを明らかとしたのは、世界で初めてです。
  3. 生物研では、現在、コムギ、オオムギ、トマト等でもこの手法が使えるよう技術の開発に取り組んでいます。
予算:農林水産省委託プロジェクト「ゲノム情報を活用した農産物の次世代生産基盤技術の開発プロジェクト」
特許:特許出願済み
プレスリリース全文 [PDF:432KB]
【発表論文】
  1. Nishizawa-Yokoi A, Endo M, Osakabe K, Saika H, Toki S (2014) Precise marker excision system using an animal-derived piggyBac transposon in plants The Plant Journal 77(3):454-463
  2. Nishizawa-Yokoi A, Endo M, Ohtsuki N, Saika H, Toki S (2014) Precision genome editing in plants via gene targeting and piggyBac-mediated marker excision The Plant Journal (Published Online):Early View(DOI: 10.1111/tpj.12693
    *本論文は、2014年10月14日に「FACULTY of 1000」に選ばれました。
問い合わせ先など
研究代表者:(独)農業生物資源研究所 理事長 廣近 洋彦
研究推進責任者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
センター長 松本 隆
研究担当者:(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
 ゲノム機能改変研究ユニットユニット長 土岐 精一
 電話:029-838-8450, E-mail:stoki@affrc.go.jp
(独)農業生物資源研究所 農業生物先端ゲノム研究センター
 ゲノム機能改変研究ユニット特別研究員 横井 彩子
広報担当者:(独)農業生物資源研究所広報室長 谷合 幹代子
 電話:029-838-8469
本資料は筑波研究学園都市記者会、農政クラブ、農林記者会、農業技術クラブ、文部科学省記者会、科学記者会に配付しています。

【掲載新聞】  12月26日 日本農業新聞、化学工業日報、日本経済新聞(夕刊)

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