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国際イネゲノム塩基配列解析プロジェクト(IRGSP)−シンジェンタ
イネゲノム発表資料

イネゲノム完全解読塩基配列獲得に向けて重要な合意が成立

国際イネゲノム塩基配列解析プロジェクトとシンジェンタ社が早期の完全配列解読に向けて合意発表

東京発2002年5月23日:国際イネゲノム解析プロジェクト参加機関のひとつである独立行政法人農業生物資源研究所とシンジェンタ社は本日、シンジェンタ社のイネゲノム概要塩基配列データを国際イネゲノム解析プロジェクトと共有することで合意した。シンジェンタ社の貢献により完全解読時期が早まり、経費削減にもつながると期待される。

シンジェンタ社ゲノム研究センター、トリーメサ研究所はミリアッドジェネティックス社と共同でホールゲノムショットガン法によりイネ概要配列を得た。トリーメサ研究所はイネゲノムの99%領域を99.8%の精度で解読したと推定しており、この結果は本年4月5日号サイエンス誌に掲載された。

「われわれはこの貢献を決断したシンジェンタ社を称賛したい。コメは地球上の全人口の半数にとって主食料である。イネゲノム塩基配列解読が完了すれば、重要な遺伝子を突き止め、有用な形質を各地域で栽培されているイネに導入することが促進される。これは開発途上国の人々にとってたいへんな朗報となる。」と、農業生物資源研究所ゲノム研究所の佐々木卓治博士は語る。

「イネゲノム塩基配列の完全解読は科学にとってもイネに依存して暮らしている多くの人々にとっても重要であり、我々の研究成果を地球規模で研究者社会と共有できることを喜んでいる」と、トリーメサ研究所長のスティーブ・ブリッグス氏は述べている。

シンジェンタ社は国際イネゲノム塩基配列解析プロジェクト(IRGSP)に従来から配列情報や解析用資源を提供してきた。

IRGSPは1998年に、公的データベースに完成した高精度イネゲノム塩基配列を公開することを目的に結成された。今回の合意に基づいてシンジェンタ社は、1)結合整理したショットガン配列、2)結合整理に用いた配列ファイルデータ、3)結合整理配列の各染色体への配置情報、をIRGSPに参加している2機関、農業生物資源研究所/STAFF研究所および米国ゲノム研究所(TIGR)に引渡す。引渡し合意書にサインしたIRGSP各参加機関は守秘義務のもとに、本情報を入手できる。シンジェンタ社の配列情報を用いて解析されたデータは、IRGSPの定めた公開基準に合致した時点で公的データベースに公開される。詳細な情報はhttp://rgp.dna.affrc.go.jp/で入手できる。

IRGSPでは現在、農業生物資源研究所イネゲノム研究チーム(STAFF研究所との共同チーム)の佐々木卓治博士をリーダーとして、日本、韓国、中国、台湾、ブラジル、インド、フランスおよび米国の8カ国・地域が活動中である。

シンジェンタ社のIRGSPへの貢献は、同社がイネゲノム塩基配列解析研究結果を外部の研究者に供与する一連の行動の一部である。シンジェンタ社は本年4月から、同社のウェッブサイトあるいはCD-ROMにより研究者に概要配列を提供している。4月以来、700人を超える研究者が学術研究目的で提供をうけている。また、同4月、シンジェンタ社は世界中のすべてのゲノム塩基配列解析実行グループと共同してジャポニカ種とインディカ種、両方の配列解析を完成することをよびかけている。

「われわれの進展をもってしても、イネゲノム塩基配列を完成させるには、たいへんな努力が必要だ。全世界規模で、公的機関と民間会社が協力することで迅速な配列完成が期待できる。本日の合意がこの目標への重要な第一歩となる。」とスティーブ・ブリッグス氏は語る。

コメは地球上の人口の約半数が主食料として利用している最重要な穀類である。栽培耕地、水、化成肥料、その他の持続的農業に必要な資源の減少と並んで、人口の増加がコメの生産性を高めることを重要な課題としている。完全解読塩基配列と関連させたイネゲノム遺伝地図を利用することによって、育種研究者が収量、病害抵抗性、および環境ストレス耐性などの形質遺伝子を特定することが容易になる。重要な遺伝子を突き止めることは、この遺伝子を各栽培地域に適した品種に導入することを可能にし、また、育種研究者がコメ生産にとって積年の問題を解決するために利用できる、新たな遺伝子変異を探索する基盤にもなる。

シンジェンタ社は世界規模で農業関連ビジネスをリードしている。シンジェンタ社は穀類防疫で第1位に、高商業価値穀類市場で第3位にランクされる。2001年の売り上げ高は約63億米ドルである。シンジェンタ社の雇用員は世界50ヵ国以上で2万人以上である。シンジェンタ社は革新的研究と技術により、持続的農業に関わっている。シンジェンタ社はスイス株式市場を始め、ロンドン、ニューヨーク、ストックホル市場に上場しており、詳細な情報は http://www.syngenta.com に掲載されている。

[連絡先]

シンジェンタ社:クリス・ノバック電話:1-302-425-2123E-メール:chris.novak@syngenta.com
農業生物資源研究所:中島皐介、理事電話:0298-38-7097E-メール:nakajima@nias.affrc.go.jp
米国ゲノム研究所(TIGR):ロビン・ブエル電話:1-301-838-3558E-メール:rbuell@tigr.org
国際コンソーシアム:ベンジャミン・バー(米国ブルックヘブン研究所)電話:1-631-344-3396E-メール::burr@bnl.gov
国際コンソーシアム:佐々木卓治(農業生物資源研究所)電話:0298-38-7066E-メール:tsasaki@affrc.go.jp


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