プレスリリース |
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平成15年3月5日 独立行政法人 農業生物資源研究所 |
農業生物資源研究所は、平成14年度補正予算(5億5千万円)により、全ゲノムショットガン方式によるカイコのゲノム解析を開始しました。塩基配列の解読は、農業生物資源研究所と農林水産先端技術産業振興センター農林水産先端技術研究所、タカラバイオ株式会社ドラゴンジェノミクスセンターが共同して行います。
この全ゲノムショットガン解析は、農業用・衛生害虫用ゲノム創薬や昆虫工場技術の確立を目指して平成14年から開始したプロジェクト研究「昆虫ゲノムの解析による有用遺伝子の単離と利用技術の開発」を加速化するために行われるものです。(別紙参照)
このプロジェクトでは、染色体の物理地図に基づいてBACコンティグを作成し、ESTデータベースの情報とあわせて重要領域の解読を行うこととしていますが、全ゲノムショットガン解析をあわせて行うことにより、EST解析や重要領域の解読のみでは見つからない有用遺伝子の単離が加速化するものと期待されます。
このようにして、有用遺伝子や害虫防除薬剤の標的となる遺伝子の単離が促進されることにより、昆虫利用産業の創出が加速され、経済活性化に貢献することが期待されます。
なお、カイコゲノムの解析研究については、国立遺伝学研究所や大学等の協力も得て進めることとしています。
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〔今回の解析で得られるもの〕
カイコの全ゲノムサイズはおよそ5億3千万塩基対であり、今回の補正予算ではその約2.5倍に相当する塩基配列を解読する予定です。この重複度では多数のギャップで分断された遺伝子断片しか得られないと予想されますが、農業生物資源研究所で蓄積しているマーカー情報等を活用することによってEST解析では得られない発現頻度や発現量の少ない遺伝子断片を発見できるなど、有用遺伝子単離の促進が期待されます。
〔全ゲノムショットガンと階層化ショットガン〕
イネゲノム(4億塩基対)解析では、クローンの正確な位置決めと99.99%という高精度な解読を行うため、階層化ショットガンという方式を用いていますが、カイコでは遺伝子断片の発見とゲノム構成の概要を知るため、全ゲノムショットガン方式を採用し、重要な部分については逐次イネと同様な階層化ショットガン方式で解読を進めることとしています。(下図参照)
[掲載新聞]
2003/03/06 | 日本工業新聞 |
2003/03/07 | 日本経済新聞、化学工業日報 |