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動物遺伝子組換え実験にあたっての報告の不備について 独立行政法人農業生物資源研究所は、平成17年7月28日に文部科学省より、標記について、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律」の趣旨に抵触するとして文書による厳重注意を受けました。当研究所においては、法令を遵守した適正な遺伝子組換え生物の取扱いに努めてきましたが、今後このようなことがないよう、法令遵守を徹底するとともに、遺伝子組換え実験に関する教育訓練の強化や所内規程の見直しを行うなど、再発防止に務めています。
平成16年9月に(財)実験動物中央研究所へ微生物検査のため搬出した遺伝子組換えマウス1系統について、「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物多様性の確保に関する法律」第26条1項で定められた文書による情報提供がなされていませんでした。当該マウスの搬出に当たって、(財)実験動物中央研究所への「届出書」には遺伝子組換えマウスであることを示す供与核酸の名称等を記載していましたが、法令についての認識不足により、第2種使用であることを文書等の定められた方法で情報提供を行っていなかったものです。 なお、当該マウスは、搬出後も適正な拡散防止措置の下で飼育された後、検査のために屠殺されており、生物多様性への影響等に問題はありませんでした。
臓器移植実験モデルブタの開発研究の成果として、免疫抑制に関与するヒト補体制御因子遺伝子(DAF)を組み込んだ遺伝子組換えブタを作出し、平成17年6月22日にプレス発表を行いました。この報道を受け、文部科学省より、当該ブタの使用にあたっては文部科学大臣の確認を受ける必要があるとの指摘を受けました。その理由は、DAFはヒトのエコーウイルスの感染受容体である可能性があることから、当該ブタの使用は「哺乳動物等に対して病原性を有する微生物の感染を引き起こす受容体を宿主に付与する遺伝子を含むものの使用等」に該当するためでした。 DAFは免疫抑制に関与する補体制御因子の遺伝子であり、実験担当者及び安全委員にエコーウイルスの感染受容体の可能性があるとの認識が無かったことから、文部科学大臣への確認申請を行わないという不備が生じたものです。 なお、当該ブタは平成17年4月まではP1Aの拡散防止措置、それ以降は特定飼育区画の拡散防止措置により適正に取り扱われており、生物多様性への影響等に問題はありませんでした。
当研究所は、遺伝子組換え実験については所内の遺伝子組換え実験安全委員会を中心として、法令を遵守した適正な遺伝子組換え生物の取扱いに努めてきたところですが、今回の指摘を受け、全職員に遺伝子組換え生物の適正な取扱いと法令の遵守を改めて通知するとともに、遺伝子組換え実験に関する教育訓練の内容を見直して法令の趣旨及び各種手続き等についての説明を徹底することとし、臨時教育訓練を実施しました。また、遺伝子組換え実験安全委員会における審査をこれまで以上に厳しくするとともに、所内規程の見直しを行っています。今回のような不備を生じないために、関係機関との連絡を十分に取る等についても徹底し、再発防止に努めて行くこととしています。
企画調整部 研究企画科長 木内 信 Tel. 029-838-7426
【掲載新聞】
8月2日:茨城新聞 8月3日:日刊工業新聞 |