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【要旨】 【仕組み】 【研究の内容】 図−1 図−2


【仕組み】

  • 民間企業からの資金により、人件費、研究材料費等の研究に必要な経費を賄います。
  • 研究成果として得られる特許等の知的財産は、資金提供した民間企業との共有とします。
  • 本プロジェクトの実施にあたっては、日本大学薬学部との間で人的交流も含めた連携協力体制を組みます(図−1)。

【研究の内容】

   昆虫には、特殊な細胞の中で増殖する微生物(共生菌)が存在し、昆虫の生存のためにきわめて重要な役割を果たしています。共生菌は多様な物質を産生しており、これらの物質が昆虫の寿命、体長、色調、行動、生殖、易感染性など、さまざまな昆虫の生活スタイルをコントロールしています。これらの物質の中には、医薬や農薬の資源として有用なものが含まれていると考えられますが、共生菌を取り出して培養することが出来ないため、この方面の研究は殆ど手がつけられていませんでした。

   最近になって、ゲノム科学の進展により、共生菌から直接DNAを取り出し、解析することが可能となり、DNAレベルで遺伝子の機能解析やその遺伝子によってつくられる物質の解明が可能となってきています。

   本プロジェクトでは、様々な昆虫の共生菌からDNAを網羅的に取り出し、それを大腸菌に組み込んで、そのDNAに含まれる遺伝子によってつくられる物質を解析する一連のシステムを開発します(図−2)。そして、実際にこのシステムを使って、共生菌が産生する有用な物質の探索を行います。これらの物質の中には、新しい医薬や農薬の資源、有用な酵素、新しい機能生蛋白などが含まれていると期待されます。

   また、共生菌ゲノムの解析から、共生菌を介して宿主害虫を制御する、新しい創農薬技術の開発も期待されます。

   これまで、抗生物質等は、土壌中に生育する微生物から見いだされてきました。しかしながら、探索可能な土壌微生物は出尽くした感があり、新たな生物資源が求められています。このような状況から、今まで手つかずの昆虫共生菌は大変有望な生物資源と考えています。


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