カイコセクロピンBの植物病原細菌に対する増殖抑制効果


[要約]
人工的に合成したカイコ抗菌性蛋白質セクロピンBの植物病原細菌 の増殖抑制効果を調べたところ、根頭がんしゅ病菌、トマトかいよ う病菌、軟腐病菌、腐敗病菌、桑縮葉細菌病菌、アブラナ科野菜黒 腐病菌、イネ白葉枯病菌、ムギ黒節病菌の8種に対して著しい抑制 効果が見られた。
蚕糸・昆虫農業技術研究所・生体情報部・生体防御研究室
[連絡先] 0298-38-6154
[部会名] 蚕糸・昆虫機能
[専門]  昆虫機能
[対象]  昆虫類
[分類]  研究

[背景・ねらい]
昆虫の抗菌性蛋白質は、グラム陰性細菌に対して抗菌作用を持つも のが数多く知られている。その中でも、セクロピン型蛋白質はA、 B、D、E等の種類があり、昆虫一般に存在する代表的抗菌性蛋白質 である。今回、四種の中でも最も活性の高いカイコセクロピンBを 人工合成し、植物病原菌に対する抑制効果を調べることにより体液 の抑制因子の一部を同定することを試みた。

[成果の内容・特徴]

  1. カイコ体液で得られた結果同様、合成セクロピンBはイネもみ枯細 菌病菌および青枯病細菌以外の8種に対して強い増殖抑制効果を示 した。特にイネ白葉枯病菌やムギ黒節病菌等の主要穀物病原細菌に 対し、増殖抑制効果を示したことは注目に値する。
  2. 人工合成したカイコセクロピンBの抗菌スペクトルはカイコ体液全 体を用いた場合とほぼ同様の傾向を示すため、セクロピンBは体液 中の主要な抗菌因子であると推測された。

[成果の活用面・留意点]
カイコセクロピンB遺伝子は病原細菌耐性トランスジェニック植物 を作出するのに有用な素材であることが判明した。またすでにカイ コセクロピンBのcDNAやゲノムDNAの分離、構造解析および細菌 細胞壁構成成分によるその遺伝子発現制御など詳しい基礎的知見も 得られているため今後の応用的活用が期待できる。

[具体的データ]
(図1)
(表1)
[その他]
研究課題名:微生物に対する昆虫の生体防御機構の解明
予算区分 :大型別枠(生物情報)
研究期間 :平成5年度(平成3〜5年度)