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電気的測定装置を用いたトビイロウンカの産卵行動のモニタリング法


[要約]
トビイロウンカの産卵行動の各行動要素と電気的測定装置で得られた波形との対応関係から、イネに産卵管を挿入してから複数の卵を排出し、引き抜くまでの一連の動作を波形の特徴に基づき正確に識別することができる。
蚕糸・昆虫農業技術研究所・生体情報部・選択情報研究室
[連絡先]0298-38-6085
[部会名]蚕糸・昆虫機能
[専門] 昆虫機能
[対象] 昆虫類
[分類] 研究

[背景・ねらい]
イネの重要害虫であるトビイロウンカは動き回りながら産卵を繰り返すため、産卵行動をTVカメラで長時間追跡することはほとんど困難である。また、微小な卵を植物組織内に産み込むことから、卵数の確認は実体顕微鏡下で観察しなければならない。そこで、電気的測定装置を用いることによって本種の産卵行動を正確に把握する方法を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. トビイロウンカが産卵行動中に示す一連の動作は以下の通りであった(図1上段)。雌は口針挿入後に、腹部を屈曲しながら鋸状の産卵管(第1および第2産卵弁片)を突き出し、その先端を口針挿入点の下約0.5mmの位置に突き立てると、前後に往復運動させイネ組織を切り裂きつつ挿入した。産卵管が完全に埋没すると、担弁節の筋肉を数回収縮させて卵を押し出し、卵の排出後に腹部を左右に振りつつ引き抜き動作に移った。産卵管を全長の8割程度引き抜いたところで、再び往復運動させて下方に切り裂きながら挿入し、次の卵を産んだ。これら一連の動作を反復して卵塊を形成すると産卵管と口針を完全に引き抜いた。
  2. 電気的測定装置(IEM-03:ツクバリカセイキ叶サ)による記録において、産卵管の挿入に伴う急激な電位の上昇と、その後、産卵管による切り裂き、卵の押し出し、排出、産卵管の引き抜きに対応する特徴的な波形が観察された(図1下段)
  3. 24時間の測定範囲内において、結線による虫の拘束および電流(0.5V, 500Hz)の産卵数への影響は認められなかった。
  4. 本法により、トビイロウンカが産卵行動に伴って示す一連の動作を電気的波形の特徴に基づき正確に把握できる。従って、得られた波形から産卵数を読みとるのはもちろん、産卵が中断された場合、どの行動ステップで中止したか等の解析が可能である。

[成果の活用面と留意点]

  1. 類似の産卵行動をとる他の半翅目昆虫においても適用可能であり、産卵行動習性の解明および産卵されにくい品種を選抜するための検定に利用できる。
  2. 長時間記録する場合、虫が茎上を周回して導電線が絡まるのを防ぐため、植物体に沿って短冊状の板を添えるなどの工夫が必要である。

[その他]
研究課題名:半翅目昆虫に対する作物の品種抵抗性機構の解明
予算区分 :経常
研究期間 :平成10年度(平成6年〜10年度)
発表論文等:1)トビイロウンカの産卵行動過程とその電気的測定,第43回日本応用動物昆虫学会講演要旨,1999
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