主催者挨拶

(蚕糸・昆虫農業技術研究所 所長 井上 元)

 井上です。本日は私たちのご案内に対しまして遠路多数の方がご参加いただきまして、本当にありがとうございます。ご案内をいただいたときには多分、どうして農水省がと思われた方が多いのではないかと思いますが、私達は農水省の一歩も二歩も先を行って、物を考えているかなというように思っています。農水省は今、生産者と消費者の連携を強調しておられますけど、私達はもう少し大きな生活者というレベルでものを考えております。
 今21世紀に入ったわけですけど、21世紀の価値観につきまして15年程前ですけど上智大学の猪口邦子教授が、21世紀の価値観は快適性アメニティにあると言っております。それで実際に21世紀になりました今の日本を見ますと、生活水準はかなり世界的に見ても高く豊かになっております。ですが2010年頃には、4人に1人は65歳以上になるという高齢化社会をむかえることとなります。そこで求められているのは、豊かな生活の中に潤いをもたせること、潤いのある生活というものが求められているわけです。
 そういったことを眺めてみますと、20世紀に日本で開発され、社会の中に普及していました蚕糸技術というのは、又この21世紀の社会においても非常に大きく貢献できるものと考える訳です。例えば蚕糸技術を展示しまして、それを中心にして農家と愛好者が手を取り合っていけば、そこに“生き甲斐”という新しい価値観が生まれてくるのではないかと期待している所です。そのためにはそれぞれの所でご活躍しておられるエネルギーを結集しまして、大きなパワーとして発展させていくことが望まれるわけです。この岡谷市には私達の研究所の製糸技術研究チームというものが研究の拠点を構えておりまして、新しい蚕糸技術の開発を精力的に行っております。ここで私達はサミット会議を開催したく提案させていただきました。本日は情報交換を含めまして、有意義な会議となりますことを期待して挨拶と致します。どうも有り難うございました。