生物系特定産業技術研究支援センター

《こぼれ話6》子供にも安心の「豆乳クリーム」誕生

2020年6月1日号

SDGs目標3.すべての人に健康と福祉を SDGs目標9.産業と技術革新の基盤をつくろう SDGs目標12.つくる責任つかう責任

甘さひかえめのクリーム

液体の豆乳から取り出した植物性クリーム (写真1) が誕生しました。生乳由来のクリームにはない、なめらかな食感とひかえめな甘さが楽しめます。家庭でケーキやパンなどの材料としても活用できます。

写真1 豆乳クリーム

安心して使える食材

風味のよい豆乳クリームを開発したのは太子食品工業株式会社 (青森県三戸町) と東北大学。乳製品でアレルギーが生じる子供や大人にも安心して使える豆乳を原料にした植物性クリームです。このほか、なめらかな食感が楽しめるため、ディップクリームの材料に使ってヘルシーな豆乳スイーツ (写真2) を作ったり、生地に練りこんでパンを作ることができるなど幅広い用途が見込まれています。

写真2
豆乳クリームで作れるディップクリーム
~クッキーを添えて~
ディップクリームの材料

(写真1、2とも太子食品工業株式会社提供)

豆乳クリームという呼び名の商品はほかにもありますが、「増粘多糖類や植物油脂などを添加せずに、とろっとしたクリームを作ったのは初めてです。その意味でこの豆乳クリームは今までにない食材です」(太子食品工業株式会社の話)。

画期的な製造法

液体状の豆乳を工業用遠心分離機にかけて、クリームを取り出しますが、東北大学の藤井智幸教授と太子食品工業株式会社の研究者は、豆乳から脂質を含んだクリーム状の凝集物を沈降させ、それを風味を落とさずに安定的に取り出す分離・回収技術を確立しました。

これまで大豆由来のクリームを作る方法としては、豆腐をミキサーで細かくつぶす方法が主でしたが、それだと豆腐に使われている凝固剤のにがりの味が残り、純粋な豆乳の味を出すことが難しかったようです。「この製造法だと純粋な豆乳の風味をつくり出すことができます」(藤井智幸・東北大学教授の話)。

つまり、大豆本来の風味豊かな食材がスイーツや菓子、パンなどに活用できるようになったわけです。商品はネットで販売されています。価格は1袋(500g) 1000円(税込) です。

事業名

革新的技術創造促進事業 (事業化促進)

事業期間

平成27年度 ~ 平成28年度

課題名

豆乳を原料とした植物性クリームの社会実装

研究代表機関

太子食品工業株式会社


PDF版 [325.9 KB] Click here for English version(英語版はこちら)


最近のこぼれ話をもっと見る


こぼれ話は毎月1日、15日に更新予定です。

こぼれ話の①~⑱は日本語と英語で読めます。その18話を冊子『日本の「農と食」 最前線-英語で読む「研究成果こぼれ話」』にまとめましたのでご覧ください。