研究代表者氏名及び所属
藤井 義晴(農業環境技術研究所生物多様性研究領域)
研究実施期間
平成20年度~24年度(5年間)
研究の趣旨・概要
アレロパシー(他感作用)は、植物から放出される天然化学物質であるアレロケミカル(他感物質)が、他の生物に、阻害、促進、あるいはその他のなんらかの影響を及ぼす現象です。動くことができない植物はこのようなアレロケミカルによって他の生物から身を守ったり、相互にコミュニケーションしていると考えられており、二次代謝物質として知られる植物に特有の成分の存在意義がアレロパシーではないかといわれています。
そこで、本研究では、アレロパシーに関与する生理活性物質を探索し、化学構造を決定します。すでに4000種以上の植物を使った検索を終えており、有力な候補植物を持っています。アレロケミカルとして得られた物質とその類縁化合物を有機合成し、定量的な構造活性相関研究により、除草剤としての最適化を図ります。またこのようなアレロケミカルを含む植物自身を被覆植物として直接農業に利用する方法についても検討します。
研究項目及び実施体制(()は研究担当者)
- 新規生理活性物質の単離同定と作用機構の検証
(独立行政法人農業環境技術研究所生物多様性研究領域 藤井義晴、平舘俊太郎、加茂綱嗣) - セスキテルペン類及びハイブリッド天然物の有機合成
(国立大学法人徳島大学大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 宍戸浩造、吉田昌裕、亀井智代) - アレロケミカルの構造活性相関とプローブ分子の合成
(国立大学法人九州大学先導物質化学研究所 新藤 充)
期待される成果、効果
新規なアレロケミカルが発見され、有機合成により構造や活性が明らかとなり、新たな除草剤や生理活性物質の発見が期待されます。また、このようなアレロケミカルを含む植物自身を、被覆植物として農業に利用する新たな産業の創出に貢献したいと考えています。