品種詳細

夏もえか

近年、業務加工用ネギの需要が高まり、ネギの流通量全体の6割程度まで増加していますが、根深ネギでは高温期の収量や品質の低下が著しく、重大な問題となっています。そこで周年安定供給のため、高温期でも生育が旺盛な夏どり用ネギ品種を育成しました。

主要特性

現在の夏どり用ネギ主要品種「夏扇3号」および「夏扇4号」(いずれも(株)サカタのタネ)と比較した特性を以下に解説します。

  • 形態的特性
    葉身部は「夏扇3号」と同等、「夏扇4号」より短く、葉鞘は「夏扇3号」や「夏扇4号」よりやや短くなります。葉鞘径は「夏扇3号」と同等で「夏扇4号」よりやや太く、収穫物がよく揃います。分げつ発生頻度は両品種と同様に極めて低く、ほぼ発生しません。葉色は両品種よりやや淡く、草姿は両品種と比べ、やや開張性です。
  • 収量性
    夏季収穫時の40cm長に調製した重量は両品種より重く、また総収量、調製収量および葉鞘収量は「夏扇3号」より優れ、「夏扇4号」と同等もしくはそれ以上です。
  • 生態的特性
    抽苔時期は両品種よりも遅く、低温期に葉先がやや黄化するものの、休眠性は低い品種です。
「夏もえか」の調製後の収穫物の形状
(白線は20cm)
「夏もえかの収穫物特性」

活用点・留意点

  • 夏季の高温による生育停滞や外観品質の低下が少ないため、定量生産が必要となる業務加工用の根深ネギとしての利用に向いています。
  • 植え付けは、深さ10cm程度の浅溝もしくは平床に行い、2~3回程度の土寄せ後、収穫することができ、省力的な栽培が可能です。
  • 生育が旺盛なため、収穫が遅れると葉身や襟部が裂けることがあります。
  • 低温期においても生育は旺盛であり、播種期が早いと抽苔することがあります。
出願番号
(出願日)
公表日 登録番号
(登録日)
育成者権の存続期間
34728
(2020年6月 3日)
2020年12月24日

交配組み合わせ 旧系統名
ネギ安濃交10号