品種詳細
ちなつ
「ちなつ」は、「あかね」に「スタークアーリエスト」を交雑して育成した極早生の赤色リンゴ品種です。着色がやや不良で果梗は短いですが、既存の極早生品種と比べて良食味で、日持ち性が優れています。
主要特性
- 樹勢は中程度で、樹姿は直立します。短果枝の着生は多く、えき花芽の着生も多い品種です。「ふじ」等の主要栽培品種との交雑和合性は高く(表1)、生産力は中程度で、収穫前落果は少ないです。主要病害の斑点落葉病には抵抗性、黒星病には罹病性です。
- 盛岡における成熟期は8月中旬で、「きざし」より約1週間早く成熟します。大きさは通常200g前後で、やや小さめです。果皮色は赤で、縞が入りますが、着色の程度はやや少なく、果形は円で、果梗は短いです。糖度(Brix)は12.4%、酸度は0.6%前後を示し、やや酸味が強く甘味が不足していますが、極早生としては食味良好です。肉質は歯ざわりが良く、果汁も比較的多いです。貯蔵可能期間は普通貯蔵で5~7日、冷蔵で50日前後ですが、極早生としては日持ち性が比較的良いといえます(表2)。
- 系統適応性検定試験結果をみると、成熟期は長野で7月下旬、東北北部で8月上中旬、北海道で8月下旬となっています。果実の大きさは134~230g、糖度は10.4~14.2%、酸度は0.5~0.7%前後で、食味良好と評価する場所が多いです。一方、小果であること、着色がやや不足していること、果梗が短く、収穫時に傷が付きやすいことなどが欠点として指摘されています(表3)。
出願番号 (出願日) |
公表日 | 登録番号 (登録日) |
育成者権の存続期間 |
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10856 (1998年4月 9日) |
1999年3月18日 | 9402 (2001年10月18日) |
25年 (満了日:2026年10月18日) |
交配組み合わせ | 旧系統名 | ||
あかね×スターク・アーリエスト | リンゴ盛岡49号 |
農林認定品種(旧:命名登録品種)
登録番号:りんご農林15号
登録年月日:1998年8月21日
育成担当者
副島淳一、吉田義雄、羽生田忠敬、別所英男、土屋七郎、増田哲男、小森貞男、眞田哲朗、伊藤祐司、阿部和幸、古藤田信博、定盛昌助、樫村芳記、加藤秀憲
発表論文
果樹研究所研究報告13号, p.17-25(2012-03) : リンゴ新品種'ちなつ'