ダイバーシティ推進 Diversity and Inclusion

元気な農と食を支える、女性研究者たち

基礎科学としての生物学や植物学よりも、実学としての農学に興味がありました

rolemodel09-1善林薫さん

東北農業研究センター
病害抵抗性研究東北サブチーム
主任研究員

今の仕事(研究)について教えてください

イネの最重要病害であるいもち病を、イネ品種が持つ抵抗性を利用して防除する方法を確立するための研究を行っています。具体的には、陸稲に由来するいもち病圃場抵抗性遺伝子Pi34を同定・単離してその機能を解明することを目指しています。

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イネ系統「中部32号(左)」はいもち病圃場抵抗性遺伝子Pi34を保有し、いもち病激発条件でも、枯死せずに生育しています。

農研機構(研究という仕事)を選んだ理由は

実は、大学院に進学するまでは研究職希望ではありませんでした。父が研究職だったこともあって、小さい頃から身近に感じていた一方で、休日も専門書を読んだり実験に行ったりする姿を見て、自分はそこまで努力できるか自信がありませんでした。しかし、大学で研究をやりはじめてそのおもしろさに惹かれていき、気づいたら親と同じ道を選んでいました。この職場を選んだ理由は、基礎科学としての生物学や植物学よりも、実学としての農学に興味があったからです。農研機構は、農業問題解決の為に、基礎から応用(実用化)まで幅広い研究を行っています。私は国家公務員I種試験採用でしたが、県や国家II種の試験も受けていました。合格した中から、作物病害防除に貢献できる研究を行える場所として農研機構を選びました。

学生時代と今の仕事(研究)とは、どのような繋がりがありますか

大学では、農学部で植物病理学を専攻し、ムギの冠さび病抵抗性遺伝子に連鎖するDNAマーカーの解析を行っていました。就職後にやりたい研究テーマを決めていたわけではないのですが、対象病害はいもち病に変わったものの、現在も病害抵抗性遺伝子に関わる研究をしていることには「縁」を感じています。

仕事の面白さややりがいについて教えてください

自分で立てた仮説が、実験により証明されたときの「やった!」という感覚はみなさんおわかりになるかと思います。学会発表や論文発表を通して、成果を評価していただけたときには達成感があります。また、私の所属している大仙研究拠点は農業地帯の真ん中にあり、地元の農家の方々が病害防除の相談などに来られるので、アドバイスをして感謝されたときにも大変やりがいを感じます。

今後の仕事(研究)における夢は何ですか

私の現在の研究はどちらかというと基礎研究ですので、これまでは論文等を通して成果を出していくことを主目的にしていましたが、これからは、農業現場が現在直面している、あるいは近い将来重要になるであろう問題の解決に、より実用的な方法で貢献していきたいと考えています。

女子学生・ポストドクターへのメッセージをお願いします

仕事(研究)の能力において男女に差はないと思いますので、自信を持ってよいと思います。ただ、結婚や出産などのライフイベントにより、研究の キャリアが中断・足踏みすることが、女性では男性に比べるとまだまだ多いのが現状です。そのような状況下では、研究へのモチベーションを保ち続けることが、難しいけれども重要なことだと考えています。自分の気持ちや時間的制約に折り合いをつけながらも少しずつ前進していければいいのではないでしょうか。 この職場は、職員のワークライフバランスに対する理解がある方だと思いますので、研究を続けたいかたは是非採用試験にチャレンジしてみてください。

仕事と家庭(生活)とのバランスについて、ご自身の考えや工夫されていること

時間を有効に使うために裁量労働制を選択しています。現在は子供が小さいため、仕事はほぼ定時に終えています。忙しいときは、朝の支度を夫に託して朝6時半頃に出勤したり、休日に出たりしています。長期の出張や、子供の病後期は義父母にサポートしてもらっています。子供がいなかったころよりも仕事に充てられる時間が減ることは確かですが、その中でいかに仕事の質を維持&向上させていくかを現在模索しているところです。

長期的な問題としては、転勤があります。夫は県職員なので短いスパンで異動しています。今後、家庭(主に育児)への影響をなるべく少なくしつつ、双方の転勤をどう乗り切っていくかが課題です。しかし、心配してもきりがありませんし、育児を含む家庭生活は、苦労以上に楽しみや喜びが多いものです。仕事を続けるならパートナーの理解が不可欠ですので、結婚の際にその点はしっかり見極めることが重要と思います(自分自身は直感で決めてしまったのでえらそうには言えませんが...)。結婚後は二人でよく相談しながら、周りのサポートや様々な制度をうまく利用すれば、仕事と家庭生活の両方を楽しむことができると思います。

(取材日:平成21年12月)