ダイバーシティ推進 Diversity and Inclusion

勝田  眞澄 北海道農業研究センター 所長

東京農業大学を卒業後、農林水産省入省。農業生物資源研究所機能開発部、遺伝資源第一部、農業研究センター作物研究所、農林水産省技術会議事務局筑波事務所、作物研究所領域長、北海道農業研究センター企画管理部長を経て現職。

人への苦手意識をなくす「対話型コミュニケーション」を大切に。

これまでのキャリアとモチベーションの関係

異動にともない研究の分野の変更を何度か経験しました。それぞれの分野で小さいものもふくめて得るものがあったり、成果を学会等で公表したりしてきたことがモチベーションの維持につながりました。一つの分野で同じ研究を続けたとすると停滞していると感じたかもしれませんが、分野が変わったことで新たな切り口を見つけられ、研究者としてステージアップしてこられたようにも思います。そして、生産現場と繋がっていると実感出来たときは大きなモチベーションアップに。例えば、資源作物(雑穀やごまなど)の育種を担当していた時は、現地を車で走っていたら、育成したアマランサスが道路沿いに沢山植えられていたり、ごまの新品種について農家さんから感謝の言葉をもらったりして感激しました。研究者と管理職では達成感の質に違いはありますが、好奇心が満たされて生産現場と繋がる充実感を感じながら仕事を楽しんでこられました。

キャリアチェンジで気づいたこと

50代で農林水産省技術会議事務局筑波事務所へ異動したときに、企画管理の仕事に就きました。筑波事務所への異動の打診が、ちょうど次の品種を世に出すタイミングに重なったこともあり、研究からマネージメントへの異動には少々抵抗もありましたが、年齢的に順番だからとも考え打診に同意しました。当時の筑波事務所はAFFRITの運営や観音台地区の施設全体に対応するエネルギーセンターの管理、つくば地域の産学連携コーディネートなどを担っており、異動してみて研究機関の活動の基盤となる業務をしていることがどういうことなのかということがハッキリと実感できました。
研究等の機構の活動も、一人の力だけで成り立ってはいません。企画管理部門などいろいろなサポートがあって、初めて研究成果は実を結ぶことができるもの。職員は、それぞれの職種で、ぞれぞれの持ち場に頑張っていることが本当によく分かりました。

管理職として心がけていること

管理職には保護者の役割があって、自分の部下の味方にならないといけないと思っています。味方というのは、何でも受容するということではなく、アクセルとブレーキのように、相手を理解して応援するけれど、必要なときにはちゃんと「やめろ」と言える存在になること。つまり、部下にとってのリスクを事前に察知して、上手に誘導するのも管理職の役目だと思っています。

風通しのよい組織となるために

今年の北農研の組織目標は「対話型コミュニケーション」です。たとえば、小さなことでも、何か情報を伝えなければならないときに、メールだったり、所内便で送ったりすれば、それで済むと思いがち。ですが、ちょっと行って手渡しするとか、話すとか、そういった直接的なコミュニケーションを無精しないこと、人との付き合いを無精しないことが大事だと考えました。言い換えると、「人への苦手意識をなくす」ということが、報・連・相ができる組織にするためには必要だと考えています。

若い職員へのメッセージ

やはり「対話型コミュニケーション」が重要だと考えています。つまり、情報を自分で集めに行くエネルギーが鍵。待つだけでは誰も教えてくれ ませんから、自分から行って、周りからの助言を聞き、それを元に自分で考えて問題を解決していくのが大事だと思います。知り合いを沢山作ってネットワークができれば、そこから様々な情報を取得できるし、その情報を使って、悩みも解決できるようになると思います。ネットワークを広げて、得られる情報の種類を増やし、情報の質を向上することが、人生の強力な武器になると思います。