ダイバーシティ推進 Diversity and Inclusion

小田 篤 野菜花き研究部門 野菜生産システム研究領域 上級研究員 筑波大学大学院で博士(理学)を取得。筑波大学、ドイツマックスプランク研究所での博士研究員(ポスドク)を経て2008年に農研機構花き研究所に任期付研究員として採用。その後、主任研究員に。本部企画調整部勤務を経て、2018年から現職。

一つのことにこだわらず新しいことをやるのは面白い

こだわらずに新たな経験をする

筑波大学の遺伝子実験センターで、モデル植物であるシロイヌナズナの花が咲くメカニズム(花成)の研究をしていました。日本学術振興会特別研究員(PD)に採用され、花成の分野で最先端を切り拓いていたドイツマックスプランク研究所へ、世界一を目指して渡りました。留学先のボスはいわゆる「天才」でした。研究室には20人を超えるポスドク、学生が在籍しているのですが、全員にそれぞれ自主的に研究できるようなテーマを与え、かつ、その進捗をすべて記憶して、的確なアドバイスをしているのです。自分は真似できない、と思いました。一方で、日本での研究のレベルは決して世界一の研究室に遅れている訳ではない、と実感しました。
帰国してまもなく農研機構でキクの花成の研究で募集が出ており、これだ!と思って応募しました。テーマを変えることにこだわりはなく、新しいことをやれる、と思いました。花成の研究をキクでこつこつと続けながら現象を解明し論文を書いていたのですが、研究内容の応用への出口が見えなくて、理解されないと感じるときは辛かった。その頃本部へ異動して、企画調整部で研究予算の配分を担当することになりました。異動の時は3人目の子供が生まれたばかりで、慣れない本部の仕事と子育てを両立できるのか心配でしたが、新しいことがやれると気持ちが上がりました。本部の上司の方々は子育てにもとても理解があり、有給休暇をフル活用してなんとか、業務と両立することができました。本部に来て、農研機構の立ち位置、つまりニーズに応じて研究を行い、新しく開発した技術を実用化(社会実装)することが求められることを実感することができました。求められることをやることに喜びを感じるし、独りよがりでなく、人のため、農業のために役に立ちたいと思うようになりました。

研究の幅を広げたい

2年間の本部勤務が終わり、この4月から野菜生産システム研究領域に所属して新しい環境で研究をすることになりました。一般的に植物工場と呼ばれている大規模な施設を高度に環境制御して、効率的に野菜を栽培する方法を研究しているユニットです。これまでの研究内容とは大きく異なる分野でしたが、異動の際には「現在のメンバーとは別の新しい視点を持ったあなたに来てほしい。」と誘ってもらい、期待されることを嬉しく感じました。農林水産省の事業では2~4haの規模の植物工場を全国に10か所に整備し、そこで効率的に野菜を栽培する研究に取り組んでいます。たくさんのプロジェクトを進行しているユニットで、研究は今まさに実用化の段階です。実際に農業を変える、というところにある課題が多く、とてもやりがいがあります。農研機構ではじっくり研究に取り組むことができるので、自分のカラーを出すのは、この分野の全体がきちんと理解できてから、と思っています。将来的には、例えばこれまでの花の研究の経験を活かして、花の付き方を最適にコントロールすることができれば、野菜の収穫量を飛躍的に増加させる技術開発につなげられるかも、と思っています。

家事は自然と分担 「なろりんルーム」も利用しています

妻は現在、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)で日本学術振興会特別研究員(RPD)をしています。お互いに研究をしていますし、子供も3人いるので家事は自然と分担しています。食事を作るのは苦にならないので、夕食は私が担当です。得意料理は、から揚げ?かな。買い物は妻が好きらしく買ってきてくれるので、冷蔵庫に入っているもので何でもぱぱっと作ります。本当は、油がとびはねるのとかいやなのかもしれないし、洗濯物の干し方、畳み方も気に入らないのかもしれませんが、私がやる気を無くさないように、妻は口をださずにいてくれているみたいです。
今年から開設されたなろりんルームには、これまでに子供が2回お世話になりました。病気からは快復しているけれど、保育園に預けるには心配なときに隔離保育室を利用しています。今までは休みをとらなくてはいけなかったのが、1日仕事ができるので助かります。5歳の子供には、「今日はおむすびの保育園に行くんだよ。」と説明するとわかってくれるみたいです。朝はちょっと嫌がっても、1日保育スタッフさんがゆっくり遊んでくれるので楽しいらしく、迎えに行くときは笑顔でニコニコしています。

My favorite things。「休日は子どもたちと思いっきり遊びます」子供たちと乗り物に乗っている画像。/「家庭菜園を楽しんでます」お子さんが採れた野菜を見せている画像。/「なかよし3きょうだい」3人のお子さんが写っている画像。/「ズッキーニの養液栽培を試しています」家庭菜園の様子の画像。/マルチロードマップの画像