北海道農業研究センター

線虫害グループ

北海道の大規模畑輪作において発生する有害土壌線虫は、種類数は少ないものの、いったん発生すると防除手段が限られる等の理由で、恒常的な発生・難防除化の傾向があります。豆類(ダイズ、アズキ、インゲン)の収量低下を招くダイズシストセンチュウ、根菜類の品質低下や畑作物の潜在的な収量低下の要因であるキタネグサレセンチュウ等も重要種ですが、とりわけバレイショの大幅な収量低下を招くジャガイモシストセンチュウ類(ジャガイモシストセンチュウ、ジャガイモシロシストセンチュウ)が現在の主な研究対象となっています。これら有害線虫の発生生態の解明や高精度検出技術の開発、効果的な防除技術の開発、これらを駆使し有害線虫を根絶まで導くプロセスの構築などの研究を実施しています。主な研究テーマは以下のとおりです。

有害線虫の発生生態の解明

発生圃場・地域における線虫分布のマッピング化、高温・低温が有害線虫の発育速度・増殖に与える影響の解明、有害線虫増殖における寄主植物の品種間差異の解明等。

有害線虫の簡易・高精度検出技術の開発

1枚が4ha以上もある大規模圃場からの効率的な線虫サンプリング技術の開発、生産者自らが実施可能な簡易検出・密度推定技術の開発、複数の加害線虫を1回のプロセスで同時検出可能な技術の開発、寄生性等の異なる個体群(レース・パソタイプ)の簡易識別技術の開発等。

環境に配慮した有害線虫の効果的防除技術の開発

抵抗性品種・系統の選抜と抵抗性品種を有効利用した線虫密度低減技術の開発、対抗植物・捕獲作物等を利用した線虫密度低減技術の開発、ふ化促進物質等の生理活性物質を利用した線虫防除技術の開発、化学農薬の効果的な利用技術の開発と効果の検証等。

各種センチュウの写真

メンバー