生物系特定産業技術研究支援センター

SIP

第2期 スマートバイオ産業・農業基盤技術

プログラム・ディレクターからのメッセージ
プログラム・ディレクター 小林憲明

SIP「スマートバイオ産業・農業基盤技術」
プログラム・ディレクター

小林憲明

「バイオエコノミー」という言葉を耳にする機会が増えています。生物資源あるいはバイオテクノロジーを活用した経済活動のことですが、その究極的に目指すところは地球規模の課題を解決し、長期的に持続可能な成長社会を作り出すことです。

バイオテクノロジーが影響を及ぼす産業領域は、食料、医療、環境、化学品など多岐にわたります。その規模は、OECD諸国だけで2030年には約180兆円にまで達すると予測されています。そのため欧州、アメリカ、中国などの主要国はバイオエコノミーを戦略的成長領域と位置付け、国を挙げた産業振興に取り組んでおり、この分野におけるイノベーション競争は激化しています。

さらには近年のデジタル技術の急速な発達によって、人類はゲノム情報などの生物・生体情報をかつてとは比較にならないほど低コストで収集・蓄積できるようになりました。AIをはじめとする解析技術の進化で、生物情報の解析力・読解力が飛躍的に向上しています。さらには、新しい生物機能の設計や、特定の機能の発現制御などの操作が容易になろうとしています。

以上のような背景の下、SIP第2期では日本の今後の発展のために、バイオエコノミーのなかでも中核となる分野である「スマートバイオ産業」と「農業基盤技術」が課題として設定されました。本プログラムは特にバイオテクノロジーとデジタル技術の融合が主要な軸となります。

そして、このプログラムが成功するための重要な鍵となるのが、日本の強みを生かした産官学連携でのオープンイノベーション型の取り組みによる、協調領域の整備です。一般的に企業同士は競争関係にありますが、本プログラムにおいては1社1組織ではできない協調領域を定め、その範囲においてはデータを共有するプラットフォームを実現し、それを共に活用しながら世界の市場で競争していくことを狙っています。すでに、本プログラムには、200以上もの参画する企業や大学、研究機関はが参画しています。

こうした共創と協調の概念を具現化し、産学官連携による付加価値を高める上で不可欠となるのが標準化と知財化、業界や分野を超えた迅速な横の連携です。バイオ領域に限らずさまざまな産業領域におけるグローバルの市場開発を念頭に置いた戦略的なアライアンスの実現に向けて、本プログラムをオープンイノベーションの成功事例としていきます

他のSIPプログラムと同様に、スマートバイオ産業・農業基盤技術もSociety5.0の実現と、日本が抱える課題を解決するためにバイオ産業と農業を次世代型にシフトさせる取り組みです。どうぞ私たちのプログラムにご期待下さると同時に、ご興味ご関心を持たれた企業や投資家の皆さまは、是非ともご協力をお待ちしています。