中央農業研究センター

家畜飼養グループ

飼料用米混合飼料で肥育した黒毛和種去勢牛の枝肉全体および枝肉断面

家畜飼養グループでは、日本の酪農、肉牛肥育および乳・肉用子牛生産の現場が抱える問題を改善するため、畜産研究部門を始め農研機構内の多くの部門や地域農業研究センター、公立・地方独法の試験研究機関、ならびに大学と積極的に連携しながら研究に取り組みます。

都府県における高収益型酪農経営を推進するためには、飼料の安定供給と価格低減が必要です。水田で生産される飼料用米は、輸入トウモロコシの代替デンプン源として牛での利用が進んできています。当グループでは飼料用米の更なる低コスト安定利用を目指して、籾米サイレージの搾乳牛への給与技術の開発に取り組みます。また、酪農生産現場における搾乳作業の軽労化や労働時間の短縮、乳生産性の向上のため、搾乳ロボットを導入する酪農家が増加しつつあります。搾乳ロボットを活用した省力的・効率的な乳生産システムの確立に向けて、飼養管理技術の開発に取り組みます。

肉牛生産においては飼料資源の有効活用により生産費低減を図ることが重要です。一方、黒毛和種の現在の平均出荷月齢は29ヶ月齢であり、枝肉重量および脂肪交雑等の向上を目指して長期化する傾向にあります。当グループでは、出荷月齢を26ヶ月齢前後まで短縮しつつも牛肉の品質を維持し、輸入穀物比率が高い濃厚飼料の利用量を節減する肥育管理方法を生産現場に提示するため、肥育期間短縮用給与プログラムが肥育牛の肥育成績や枝肉構成、肉質等に及ぼす影響の解明に取り組みます。

乳・肉用牛の繁殖成績を向上させ効率的に子牛を生産することは、良好な畜産経営維持に必須です。しかし近年、乳牛及び肉用繁殖牛のいずれでも受胎率の低下が問題になっています。当グループではこの問題の改善を目指し、センシング技術を活用した精密繁殖管理システムの開発、生殖に関わる内分泌制御軸の制御による受胎率向上技術の開発、ならびに子宮環境の改善による受胎率向上技術の開発に取り組みます。

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