食品研究部門

食品機能評価ユニット

役割

超高齢社会の現代における健康長寿を支える食生活が必要です。わたしたちは、健康を維持し、老化の予防に役立つような食品の新しい健康機能性を明らかにするための研究を行っています。

主な研究テーマ

網羅的解析技術を活用した食品の健康維持機能、老化予防機能の評価

動物モデルを使って、遺伝子発現、代謝物、腸内細菌叢などの網羅的解析により、老化予防や健康維持に働く機能性の総合的な評価を行っています。これまでにリンゴ等に含まれるプロシアニジンが食事による肥満やメタボリックシンドロームを予防するメカニズムを明らかにし、機能性表示食品の開発にも貢献しています (図)。老化モデルマウスを用いて、加齢による免疫機能の低下などを改善する食品の研究にも取り組んでいます。
また他機関と連携して、食品のヒトでの有効性を明らかにする研究や、新たな機能性の探索を行っています。

(図)プロシアニジンが食事による肥満やメタボリックシンドロームを予防するメカニズム

代謝物に着目した次世代健康機能評価系の構築と食品開発

これまでの食品の健康機能の研究は、限定的な効果を見ている可能性がありました。私たちは代謝産物全体の動きをメタボロミクス(代謝産物の網羅解析)によって、食品の健康機能の包括的、実用的な評価系を開発するとともに、効果的に機能を発揮する食品成分の探索と食品の開発と食生活の提案を目指します。(木村)

食品の免疫老化抑制活性の評価系の構築

これまでに食品が免疫機能に及ぼす影響を解析して得られた知見を活用し、免疫など生体防御機能の老化を抑制できる食品の開発や食生活の提案に必要な研究に取り組んでいます。(後藤)

農作物等に含まれる生体防御機能に関与するタンパク質やペプチドの解析

農作物や食品にはさまざまな機能を持つタンパク質が含まれています。これまでに、農作物や農作物を原材料とした食品等に含まれるアレルゲンの検出・同定や、その配列特性および免疫化学的特性、さらに、品種間におけるタンパク質群の差異を明らかにしてきました。また、農作物や食品中の生体防御機能に影響を及ぼすタンパク質やペプチドに関する研究にも取り組んでいます。(佐藤)

時間栄養学に関する研究

われわれの持つ体内時計は、食事因子によって大きな影響を受けます。また、食事の効果も体内時計が示す時刻によって変化します。このような、食事と体内時計の関係を扱う学問を「時間栄養学」と呼び、近年、急速に知見が深まっています。われわれの研究室では、時間栄養学的な視点から、栄養素や食品成分と体内時計の関わりについて研究を行っています。(大池)

時間栄養学

食事と老化速度に関する研究

食事内容によって老化速度がどのように変化するのかを明らかにするため、マウスの加齢性難聴(マウスも歳をとると耳が遠くなる)を指標に、食事因子と老化速度の関係に関する研究を行っています。これまでに、乳酸菌H61株等を食餌摂取させることで、マウスの加齢性難聴の進行を遅らせることに成功しています(大池)。
(図)マウスの加齢性難聴を指標とした食事因子と老化速度の関係に関する研究

メンバー

ユニット長

庄司 俊彦(しょうじ としひこ)

上級研究員

後藤真生(ごとう まさお)/専門:食品免疫学

佐藤里絵(さとう りえ))/専門:植物分子生物学、食物アレルゲン

大池秀明(おおいけ ひであき)/専門:体内時計(時間栄養学)、老化(加齢性難聴)、味覚

主要成果

こちらをご覧ください。