農業環境研究部門

無機化学物質グループ

土壌中には様々な無機化学物質が存在します。その多くは養分として作物の成長に貢献し、私たちはその生産物を食料にして生命活動を維持しています。一方、作物は必要な養分のみならず、土壌中に微量ながら存在するヒ素やカドミウム等の有害な無機化学物質も吸収します。これら物質は私たちの健康を脅かすものであるため、危害要因の高い農作物には国際的な規格基準値が設定されています。特に私たち日本人の主食であるコメはヒ素の主要な摂取源です。そのため生産段階においてコメ中に含まれるヒ素濃度を減らす必要があります。無機化学物質グループは、コメのヒ素低減に向けて、遺伝子レベルでの基礎研究から、現場実効性の高い営農管理技術に至る幅広い研究を行っています。
現在行っている主な研究テーマは以下のとおりです。

  • 水稲のヒ素吸収・集積に関わる遺伝子の特定とその仕組みの解明
  • ヒ素低減有用遺伝子の導入によるイネ系統の開発
  • センサー制御によるヒ素低減用自動水管理システムの開発
  • 資材施用によるヒ素低減と生産性・品質向上を両立できる営農管理技術の開発

加えて、当グループでは放射性核種の環境中での動態解析を行っており、特に国内外で不測の原子力災害が起きた場合、大気由来の放射性核種による作物汚染を迅速に予測する手法の開発を目指しています。

水田センサーを導入し、水位を制御した圃場による水稲のヒ素吸収試験(上写真)と自動水管理装置(左下写真)、水稲系統によるヒ素吸収選抜試験(右下写真)

メンバー