次世代作物開発研究センター

麦研究領域

「カシマゴール」は縞萎縮病に抵抗性を持ち、稈が折れにくいため、安定した収量が得られる麦茶用の新品種です。

農林水産省の掲げる自給率を40%から45%(平成37年)に引き上げる施策のために、現在の生産量を小麦では81万トンから95万トン、大麦では18万トンから22万トンに増産することが求められています。この増産の達成のため麦研究領域では「小麦・大麦育種ユニット」が、温暖地東部(関東・東海・東山)向けの実需者ニーズに応じた加工適性を持つ小麦と大麦の品種改良を行っています。これまでに、小麦ではめん用品種「きぬあずま」「あやひかり」「あおばの恋」「ふくあかり」、パン用品種「ユメシホウ」、中華麺・醸造用品種「タマイズミ」、モチ性品種「あけぼのもち」「うららもち」、大麦では機能性成分であるβ-グルカン含量が高い品種「ビューファイバー」「ワキシーファイバー」、麦茶用品種「カシマゴール」、炊飯後の褐変が極めて少ない品種「はるしらね」等を育成しました。
また、「麦類形質評価ユニット」は品種改良に寄与する基盤的研究として、収穫時期が梅雨と重なる日本では被害の発生し易い小麦の穂発芽に対する耐性、加工適性に大きく影響する小麦のデンプン組成や小麦粉の色に関する研究、近年注目を集めている機能性を有する大麦のβーグルカンに関する研究などを行っています。さらに稲に比べると作出することが難しい小麦で、高効率で形質転換体を作出する技術を持っており、遺伝子の機能解析のための形質転換小麦の作出も行っています。


領域長

杉浦 誠(すぎうら まこと)

所属研究ユニット