果樹茶業研究部門

病害ユニット

DNA抽出が不要な、カンキツグリーニング病感染樹の迅速・簡単法の開発

我が国は南北に長く、北海道から沖縄まで様々な果樹が栽培されています。病気の発生は気候や気象条件に大きく左右されるため、病気の種類や被害も年により、地域により様々です。果樹栽培は、きれいな果実を収穫する必要があります。そのためには、樹を丈夫に育て、病気にならないよう管理することが大切です。病害ユニットでは、国内の果実生産現場を病気から守るための技術開発や新しい発見を目指して以下の研究に取り組んでいます。
1ナシやモモなどに発生する、予防や駆除が難しい病気の対策技術について研究しています。その成果の一例が、白紋羽病の温水治療技術です(研究領域紹介ページ参照)。熱に弱い病原菌の性質を利用し、50°C前後の温水で病原菌だけを死滅させる技術です。農薬だけでは防ぐことが難しかった本病を環境に優しい温水で治療する技術として普及を進めています。
2最近になって国内で発生した病気について研究しています。カンキツグリーニング病やウメ輪紋病については、大学や他の研究機関と連携して効果的な対策技術を開発するための研究を行っています。カンキツグリーニング病やウメ輪紋病のまん延を防ぐためには、感染樹をいち早く発見することが何よりも重要です。そのための信頼性の高い診断技術の開発にも取り組んでいます(写真)。
3原因不明の障害が病気によるものかどうかを明らかにするための研究を行っています。菌やウイルスの分離・検出と接種などを基本として原因を究明します。成果として、ブドウの人気品種「シャインマスカット」を低温で長期間貯蔵すると発生する病気の原因を明らかにしました。また、新しい技術の「次世代シーケンサー」(遺伝子情報を高速で解析できる装置)を活用した原因究明にも取り組んでいます。次世代シーケンサーを使うことで、比較的簡単に短時間で原因究明の手がかりをつかむことができます。


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