果樹茶業研究部門

虫害ユニット

ハダニを捕食する土着天敵のカブリダニ

果樹栽培ではIPM(Integrated Pest Management:総合的病害虫管理)や減農薬防除体系を導入する産地が増加しており、また、園地の生物多様性を保全することの重要性も認識されてきています。虫害ユニットでは、ナシ、モモ、クリなどの害虫を対象に、環境負荷の少ない防除技術の開発を行っています。
化学農薬に過度に依存しない害虫防除には、対象害虫の生態を解明し、適期に適切な方法で防除を行うことや、害虫が多発しないような果樹園環境の整備が必要となります。そのための重要なポイントとして、土着天敵の活用があげられます。果樹園とその周辺には、害虫であるハダニ類やアブラムシ類、カイガラムシ類を捕食・寄生するカブリダニ、テントウムシ、ヒメハナカメムシ、ヒラタアブや寄生蜂など、さまざまな土着天敵が生息しています。果樹園の下草などの管理を工夫することで土着天敵の保護・強化を図り、それらを組み込んだ総合的害虫管理技術の開発を目指しています。
また、ヤガ類やノメイガ類などのチョウ目害虫を対象に超音波を忌避する性質を利用した、新しい防除技術の開発を行っています。その他、果実の品質や収量の低下をもたらすタマバエについて、栽培体系の変化や新しい品目の導入に伴って大発生する恐れがあることから、特性や発生状況を把握して適切な防除対策を講じるための研究を進めています。
適切な害虫防除のためには、害虫を速やかに判別する技術も重要です。重要害虫のアブラムシやアザミウマには、同じ種の中でも、加害する作物や農薬に対する感受性が異なる系統が存在する種がありますが、体のサイズも小さく、見た目では区別が付きません。そこで、遺伝子の違いを調べることで、これらの害虫の種や系統を簡単に判別する方法を開発しています。


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