果樹茶業研究部門

カンキツ栽培生理ユニット

シートマルチなどを利用して果実品質を向上させるのに効果的な水分ストレス付与時期

カンキツ研究領域栽培生理ユニットではカンキツの省力・低コスト生産技術および各要素技術の開発を進めており、以下に実施している研究課題を紹介します。
加工向けカンキツ果実生産において、管理作業の省力化を図るため、摘果、収穫、せん定等の主要作業に要する時間を大幅に削減する個別要素技術や、加工専用園での 化学農薬使用の半減技術を開発することで省力栽培体系の確立を目指しています。化学農薬使用を半減するために、樹体の生育や果実生産の維持しつつ病虫害を 適切なレベルで管理する方法などを明らかにしていきます。ところで、日本国内には地域特産的、あるいは非生食用の香酸カンキツ類を除き加工専用園はほとんど存在しません。試験研究では、全国のカンキツ栽培地域で栽培可能で省力化が期待でき、機能性成分を高含有し、良食味な品種「かんきつ中間母本農6号」を 生食兼加工向けの果実生産のモデルケースとして、生産者・実需者が許容できる使用農薬半減に繋がる省力化技術開発を行っています。
栽培管理上、摘果作業の省力化も重要な研究課題です。一般的に、カンキツ類の摘果基準は一果当たりの葉数や樹冠容積当たり個数を用いますが、葉数や個数を把握するのに熟練が必要です。また、同じ葉数でも旧葉と新葉の割合、一枚当たりの葉面積、樹冠当たり葉密度も樹体や栽培条件によって変動するため、より簡便な摘果基準や摘果作業の省力化を可能とする技術の確立を目指しています。また、カンキツ栽培において最大の問題でもある隔年結果の是正に向け、花成制御機構の解明とそれに基づく是正対策技術を開発し、隔年結果防止の管理作業を軽減させることを目指しています。さらに、温州ミカンなどで用いられるシートマルチ栽培は、消費者の求める高品質果実を生産でき、生産者にとっては有利販売できることから収益向上につながります(表1)。しかし、消費者にとっては高価格な商品となり、生産者には高度な栽培技術を必要とします。そこで、高品質果実をより簡便で低コストに栽培できる技術開発を目指しています。


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