畜産研究部門

有用遺伝子ユニット

豚肉中の脂肪量に関与するFABP3遺伝子の分析

我が国の畜産物は外国産に比べ、やや高価ですが、安全で高品質と高く評価されています。一方、飼料価格の高騰や疾病の発生など我が国の畜産業を取り巻く環境が大きく変化し、畜産農家の減少が続いています。将来的に畜産経営を安定化させ着実に畜産物を供給していくため、我が国独自の生産システムの確立と普及が必須であり、加えて生産量を増やし輸出拡大も図る必要があります。したがって、外国とは異なる特徴、すなわち生産効率だけでなく高品質な畜産物を生産する優良家畜の作出と生産システムの最適化が必要です。一方、家畜においても遺伝子解析技術の進歩によりゲノム塩基配列が解読され、市販のDNAアレイを利用することによりSNP情報等のゲノム情報を得ることが容易になっています。そこで、本ユニットでは、こうしたゲノム解析技術や遺伝子解析技術を利用して、肉用牛、豚及び鶏において生産性に加え品質や食味性を改善する有用遺伝子を探索するとともに、得られた遺伝子情報を従来の能力評価手法の中に効果的に取り込み、我が国の生産システムに合致する高能力で高品質な種畜を効率良く作出する育種技術の開発に取り組んでいます。

また、施設園芸農業において、農産物の品質の向上と安定的な生産には、花粉媒介昆虫(ポリネーター)としての交配用ミツバチの利用が重要であり、現在20万群以上のミツバチがポリネーターとして導入されています。一方で、我が国のミツバチは健康面での問題を抱えており、交配用ミツバチの安定供給のためには、疾病(ダニ感染を含む)対策が最も重要な課題のであると考えられています。そこで、本ユニットでは、疾病の総合的な対策法を開発するため、蜂病の簡易的な検出法・試験方法などのツールの開発、感染抑制技術の開発、ストレス等の疾病に影響する要因の解明に取り組み、ミツバチのポリネーターとしての能力向上と有効利用を目指します。


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