農薬用のマスクの種類
R2年6月 原田 一郎
早くも6月ですね。そろそろ除草や防除に忙しくなってくる時期かと思いますが、新型コロナウィルス関連でマスクが関心を集めていることから、今回は農薬用のマスクについてご紹介したいと思います。筆者には特に知見はないのですが、時節柄興味を持ち、簡単に調べてみました。
農薬散布時には農薬の種類に応じてマスクやゴーグル、手袋、防護衣(長靴含む)の装着が必要になります。農林水産省の農薬事故・被害の実態調査(厚生労働省と連携して実施)によりますと、H29年度は誤用による死亡が1件(1人)、農薬散布中の中毒が10件(22人)、誤用による中毒が10件(15人)となっています。散布中の中毒では、マスク、メガネ、服装等装備不十分
によるものが6件(6人)となっており、マスク等による防護も重要であることが分かります。
農薬用のマスクについては種類がいくつかありますが、普段使用することのない筆者にはなかなか分かりづらいものでしたので、主に農薬用保護マスク研究会の資料を参考に以下に情報をまとめてみました。さらに興味を持たれた方は補足資料もご覧ください。少しでもご参考になれば幸いです。
マスクの種類についての主なポイント
1.農薬用のマスクは大きく3種類(農薬のラベルの記載に従って適切なマスクを選ぶ)
①粉剤・薬剤用、②急性毒性の高い粉剤・薬剤用、③土壌くん蒸剤等のガス化しやすい農薬用
2.上記3種類について、農薬用保護マスク研究会の識別マーク(図参照)を参考にできる。
(注:ついていない市販品もあり)
識別マークの種類は、
農薬用マスク(粉剤・液剤用)= 上記① = 使い捨て式防塵マスク(※1)
防護マスク(粉剤・液剤用) = 上記② = フィルター取り替え式の防塵マスク
防護マスク(土壌くん蒸用)= 上記③ = 防毒マスク(※1)(吸収缶(※2)を装着するタイプ)
(※1)一般的なマスクの分類
(※2) 薬剤に合わせた吸収缶を取り付けて使う
3.検定マークのある国家検定合格のマスクを選ぶ。(検定マークの詳細は補足資料参照)
ガーゼやタオルでは、国家検定合格マスクに比較して、捕集効率が大きく低い(半分程度)といわれていますので、検定に合格した専用のマスクを使うようにしましょう。
※識別マークのついていない市販品もあるので注意
引用・参考情報
・農林水産省「農薬の使用に伴う事故及び被害の発生状況について」
・農薬用保護マスク研究会「農薬散布に使用するマスクの手引き」
・農作業現場改善チェックリストHTML版(農薬調製、散布)