農作業安全コラム

意外と多い野焼きによる事故

R4年4月 小林 慶彦

 重大な農作業事故と聞いて何を想像するでしょうか?乗用型トラクターの転倒・転落事故や歩行型トラクターによる挟まれ事故を想像する方が多いかもしれません。トラクターを含む農業機械作業に関する死亡事故は多く、令和2年の農作業死亡者外部リンク270人のうち、186人(68.9%)を占めています。しかし、農業機械が関わらない死亡事故も84人(31.1%)に上ります。その中で比較的多い原因は稲ワラ焼却中等の火傷です。

 稲ワラ焼却中等の火傷が原因での死亡者は11人(令和2年)で、農業機械が関わらない事故原因のうち3番目に多くなっています(1番目は熱中症、2番目はほ場、道路からの転落)。平成30年には、23人が稲ワラ焼却中等の火傷によって死亡しています。
 野焼きは基本的に禁止されています(廃棄物の処理及び清掃に関する法律外部リンク)。ただし、「農業、林業又は漁業を営むためにやむを得ないものとして行われる廃棄物の焼却」は禁止の対象外とされています(第14条)。たとえば、稲わら等の焼却はこれに当たると考えられます。しかし、危険も大きいことから農林水産省は野焼きをできるだけ行わないことを推奨しています。また、実施する場合には以下の点をチェックすることを呼びかけ外部リンクています。

    □延焼を防ぐ緩衝帯をつくっていますか?
    □事前に消防署に連絡をしていますか?
    □風は強くないですか?風向きを確認していますか?
    □衣服は燃えにくい素材ですか?
    □緊急時のために携帯電話を持ち歩いていますか?
    □絶えず複数人で周囲の状況を確認していますか?
    □バーナーに燃料漏れなどがありませんか?
    □燃料タンクなど、引火しやすいものを携行していませんか?
    □万が一のときはどこに逃げるか常に考えていますか?
    □火から離れて他の作業をしていませんか?

 作業時にぜひ確認してみてください。
 また、農作業事故死亡者の84.8%が65歳以上の高齢者となっており(令和2年)、突然の状況変化に対応する敏捷性の低下、危険予知能力の低下なども影響していると考えられます※。家族や地域の方々も上記のチェックポイントを確認し、声かけなどのサポートをしてみてはいかがでしょうか。地域全体で農作業事故を減らしていきましょう。

 

※:甲田茂樹、大原啓志 (1997) 高知県における農作業事故例の調査研究 高齢農業者の農業災害の特徴について、日本農村医学会雑誌、46(2) 101-107.

 

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