農作業安全コラム

見える危険と見えない危険

R5年3月 松本 将大

 先日、強風の翌朝に出勤すると、職場内での倒木や落枝が非常に多く、すぐに倒木のおそれのある危険な木の伐採や枝打ちが行われました。
 そこで切り倒された木を見てみると、外見はしっかりしていても、中身に空洞が多くいずれ倒木する可能性があったと思われる樹木もありました。
 私自身は、普段頭上の枝が折れてぶら下がっていると、明らかに危険なため近づかないようにしていたのですが、今回、外見上が綺麗な木を安全だと思いこみ倒木の危険性には全く気付いていなかったため、「見えているものが全てじゃないんだなぁ」と改めて一人納得・反省した次第です。

 さて、この話を農作業に当てはめてみるとどうでしょうか。
 明らかに危険とわかるもの、例えば刈払機での作業中に回転している刃に自ら触れようとする、あるいは作業中に見えている石や空き缶に刃をぶつける人はいないと思います。しかし、刃に草が詰まった際、エンジン回転数の低下に伴い、スロットルレバーを高回転にしていても遠心クラッチが切れて回転は停止しますが、この状態を安全だと錯覚し、エンジンが動いている状態で詰まりを取り除こうとする(詰まりを除去すると再びクラッチが繋がり突如回転するおそれ)、刈払機の作業中に草木に隠れた空き缶等に気づかず刃が接触する(飛散やキックバックのおそれ)、といった状況が、これに当てはまるのではないかと思います。

 今回の話で共通しているのは、明らかに危険な箇所は誰でも認知できますが、安全に見えても(あるいは危険物が見えない)危険なものは往々にして存在し、さらにその危険性に関する知識や経験がなければ気づきにくいことだと思います。皆様の周りにも知識や経験がまだ少ない人がいるかもしれません。日々の打ち合わせや作業手順の確認を十分に行い、情報を共有して、春作業を安全に迎えていただきますようお願いいたします。

 

キーワード:事故/刈払機
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