圃場進入路を見直そう!
H15年5月 石川 文武
農作業事故を減らすためにいろいろな調査をしています。死亡や障害の残るような重大事故の原因調査も大切ですが、ご本人に面接して詳細なことを聞取ることは不可能であったり、断られたりすることがほとんどです。そこで、同じような原因で、重大事故の何倍も発生しているヒヤリ体験を集め分析することを行っています。現在までに1299人から546事例の報告をいただいています。40%強の人が記憶に残る「ヒヤリ体験」をしていることになります。
標題に戻ります。報告されたヒヤリ体験の中で、耕耘や代かき、田植、収穫の後で、圃場から農道へ出る時に前輪が浮いたり、サイドスリップしたり、コンバインではクローラの関係で車体の傾きが急にかわったりして、びっくりした事例が多くみられました。進入退出の方法を検討することも大切ですが、現場が危ない状況では安全は確保できません。そこで神奈川県や宮城県の協力を得て圃場進入路の形状調査をしました。結論をいうと、農水省資源課が推奨している傾き12度以下のものは63%で、37%が危険と思われる傾斜だということがわかりました。また、造成から年数が立つと、表面がほじられて凸凹になり、傾斜がゆるくても、出入が不安定になる進入路もあります。安全な出入のために傾斜をゆるくすると、つぶれ地が多くなる問題がありますが、植え付け株数の減少と、安全・安心を天秤にかければ、安全・安心に軍配をあげる必要があるでしょう。
皆さんで圃場進入路の傾斜を測って問題があれば改修するなどして、安全確保に取組みませんか。