農作業安全コラム

普段通りの手順を踏むために

H26年7月 穴井 達也

 サッカーのW杯、テニスのウィンブルドン、ゴルフの全英オープンなどスポーツのメジャーな大会が続きます。寝不足となっている方も多いのではないでしょうか。プロであれわれわれのようなアマであれ、スポーツをする人にとって最大の悩みは、試合で普段の練習どおりの能力が発揮できるかです。これを克服するための有力な行動にルーティンがあります。野球のイチロー選手が行うネクストバッターズサークルから打席に入るまでの一連の動作がルーティンの一つですが、手順もスピードも毎回同じなことで有名です。ルーティンには、余計なことを考えずにその場に集中できる、日常を思い出させ普段の実力をシビアな場面で発揮させる心理状況を作るといった効果があるようです。

 さて、農作業においても農家それぞれに作業手順があり、使用する農機にも安全に使うための手順があって、普段は手順を守って手際よく安全にこなしているわけですが、農作業事故調査報告などを読むと、事故が起こるのは、日が暮れる前や天候が悪化する前にこなそうとしてあせり、詰まりを解消するため機械を止めずに回転している部分に手を入れてしまうなど、農機を安全に使うための手順を飛ばしてしまうようなときです。農作業でも事故を防ぐためには、条件の悪い環境下でも普段通りの心境で正しい手順が踏めるよう、行動をルーティン化する必要があるのかもしれません。

 

キーワード:事故/安全装置・対策
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