農作業安全コラム

海外旅行の安全も農作業安全も個人が行うべきことは同じ

H28年1月 穴井 達也

 新年あけましておめでとうございます。
 今年もウェブサイト農作業安全情報センター及びそのコンテンツである農作業安全コラムに来訪いただき感謝申し上げます。

 さて、年末年始を海外で過ごされた方もいらっしゃると思いますが、近年、海外へ行くと言えば話題になるのが、テロや致死性の感染症などの危険です。これらの危険を避け安全な旅行をしたいものですが、どうすればいいのでしょうか。

 外務省のホームページでは、注意すべき国・地域を4つのレベルに分けて危険情報として公表し、渡航する人に目安を与え、注意を促しています。旅行業者は、これらの外務省情報に独自に収集した現地情報も加味してリスク(危険の確率)を見積もった上で、ツアーなどの商品を作り、価格を決め、消費者に提供しています。当然、リスクの見積もりが厳しい業者もいれば甘い業者もいます。
 私たちが安全な海外旅行をしようと思えば、外務省の危険情報を参考にし、旅行業者からツアーの安全性に対する考え方を聞き、知人、ネット等から現地の治安等に関する情報を可能な限り集めて、旅行商品を買い、現地での行動も考えるということになりそうです。

 ここまで海外旅行の安全について書いてきましたが、事故を極力起こさないようにするために、個人が行うべきことは農作業安全も同様です。公的機関の情報を参考にし、手段の安全性を知り、安全または危険に関する知識を高め、現場のリスクを見積もって行動するということが大切です。例を挙げれば、農水省、生研センター(現:革新工学センター)等公的機関が公表している農作業安全に関する情報を参考にし、販売店等で農機や道具の安全な使い方を聞き、農作業安全研修を受けたり、事故経験者から話を聞いたりして知識を高め、農機や農作業現場(ほ場、畜舎、農道等)の危険な箇所をチェックした上で、農作業を行うというようなことです。

 一向に減らないと言われている農作業事故ですが、上記のような行動をとる農業者が少しでも増加していけば、効果は出てくると思っています。2016年が農作業事故減少への転換点となる年であったと将来言われるよう、生研センター(現:革新工学センター)も農作業事故の調査・分析やそれに基づく安全な農業機械の開発・改良を通じ貢献していきたいと考えています。

 

キーワード:事故/安全装置・対策
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