農作業安全コラム

乗車してはいけない農業機械には乗車してはいけない

H29年11月 紺屋 秀之

 革新工学センターでは、農業機械の安全性をチェックする「安全鑑定」を行っています。先日、単軌条運搬機(果樹等を栽培する傾斜地で使用するモノレール)の安全鑑定を行ったのですが、今回の安全コラムでは、その時に感じたことを書かせていただきたいと思います。

 単軌条運搬機は、人が乗車する「乗用型」と、荷物のみを運搬する「非乗用型」に分けられます。傾斜地で使用するので、駐停車ブレーキ、降坂ブレーキ、緊急ブレーキと3種類のブレーキが付いていて、それぞれの性能試験を行い安全性の確認をします。なお、「乗用型」は「非乗用型」よりも安全基準が厳しいものとなっています。

 今回の安全鑑定の性能試験は、実際にミカンを栽培している傾斜地で行ったのですが、試験中にふと横を見ると、近くで現地のミカン農家さんが作業をされていました。その農家さんも単軌条運搬機を使用していて、「非乗用型」だったのですが、荷物台車に乗車し移動していました。かなりの傾斜地でしたので、自分の足で上り下りするのは大変だと分かるのですが、もしもブレーキに不具合が起きて止まらなくなったらと想像するとゾッとしました。上でも書きましたが、「乗用型」についてはより厳しい基準で性能試験を行いますので、メーカーさんも基準をクリアできるように機械を設計・製作します。

 単軌条運搬機に限らず、「乗用型」の農業機械は、乗車する人にとって安全であるように作られていて、安全鑑定においてもその安全性をチェックしています。重大な事故を起こさないためにも、乗車してはいけない農業機械には乗車してはいけません。

 

キーワード:安全装置・対策/その他の機械/運搬・移動
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