農作業安全コラム

運転の際には自動化装置を過信しない

H29年6月 山﨑 裕文

 ここ2、3年で自動車や農業機械の自動化に関する研究が急速に進んでいます。自動車では既に国内外を問わず、オートパイロット機能(現状は限られた条件下での自動化)を装備した自動車が市販化されています。さらに農業機械においても、操舵をアシストする機能を付加した機種が市販されています。販売メーカーでは、現在市販しているオートパイロット機能や操舵をアシストする機能は、あくまでサポート機能の位置付けであり、自身で安全確認を怠らない旨を周知していますが、動画投稿サイトではそれらの機能を過信している動画が多数見られます。自動ブレーキ機能についても、国内自動車メーカーで実装が進んでいますが、その機能を過信した結果の事故を目にすることがあります。

 事故による負傷者や死亡者の発生が痛ましいことは触れるまでもありませんが、このような事故が発生した場合、「自動化機能が搭載された車種で事故発生」という内容が先行してしまい、事故の原因が機械の欠陥であるかのような誤解を消費者に持たれる心配もあります。この先実用化が予想される、完全自動化された自動車や農業機械の普及には大きな痛手となります。完全自動化されたシステムでは、ヒューマンエラーが格段に減ると考えられるため、自動化された機械の普及が進むことで事故の減少にも繋がると期待されており、事故のニュースを目にするたびに、もどかしさを感じてしまいます。

 農業機械においては、農林水産省が「農業機械の自動走行に関する安全性確保ガイドライン」 外部リンクを取りまとめて公表を行い、安全に自動走行が可能な農業機械の普及に向けて一歩を踏み出しました。

 完全無人の農業機械が市販化されるまでは、自身が運転者であることを忘れずに農作業に励んでいただければ幸いです。


 

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