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プロジェクトの成果
Ⅰ-地域農業機械化支援タイプ5
リンゴ樹園地での黒星病を
低減化するための雪解け後の落葉収集
リンゴ黒星病対策落葉収集機
研究開発プロジェクト担当

農研機構 農業機械研究部門、(株)オーレック、
(地独)青森県産業技術センターりんご研究所
雪解け後の地面に張り付いた落葉を、手作業の約30倍の作業能率で収集することができます。リンゴ黒星病の発症を低減します。
開発レポート
開発の背景

 リンゴ黒星病については、近年、これまで使用していた農薬が効かない耐性菌が確認され、病害のまん延が危惧されています。リンゴ黒星病の発生を低減させるには、発生源となる前年の落葉を収集し、樹園地の外に搬出することが有効であることが知られています。しかし、リンゴの主産地である青森県では、秋に葉が落ちきる前に積雪が始まるため、雪解け後に地面に張り付いた落葉を収集する必要があります。しかし、ブロアーやバキュームスイーパー等の既存の機械では、地面に張り付いてしまった落葉は収集することができません。また、手作業による落葉収集は能率が低く、作業従事者の減少により実施することが困難となっており、効率的なリンゴの落葉収集機の開発が要望されていました。

 そこで、2017年に(地独)青森県産業技術センターりんご研究所と(株)オーレックで、リンゴ落葉収集機の開発に着手し、さらに実用化に向けた開発を進めるため、農研機構に共同研究の要望が寄せられ、2019年から農業機械技術クラスター事業として開発に取り組んできました。

 開発コンソーシアムは、農研機構、(株)オーレック、(地独)青森県産業技術センターりんご研究所で構成しており、この度、共同研究企業から開発機の市販化に至りました。

開発機の概要

 開発機は、レーキ、回転ブラシ、接地輪、バケットで構成される落葉収集機で、乗用型草刈機でけん引します。接地輪の動力で回転するブラシの前方にレーキを配置することで、レーキでかき起こされた落葉を回転ブラシでバケットに収容します。

 バケット内の落葉を樹園地外の集積所に排出する際は、運転席に座ったままでバケットの持ち上げ及び開閉操作を行うことで容易に排出することができます。なお、収集した落葉は、樹園地の外へ搬出する、穴を掘って埋める、土にすき込むなどにより処分します。

開発機の性能・評価

 樹列が整っている比較的大規模な樹園地における開発機の作業能率は、落葉の樹園地外への搬出時間を除いて約30 a/(人・h)であり、手持ちのガーデンレーキを用いた手作業での作業能率は0.9 a/(人・h)でした。したがって、開発機の作業能率は、手作業の約30倍でした。

 作業箇所での落葉除去割合は8~9割でしたが、樹冠下などを含めた樹園地全体での落葉除去割合は5~8割でした。

 開発機で落葉を収集することにより、無処理に比べて飛散胞子数を減らすことができたことから、リンゴ黒星病の発生低減に寄与できると考えられます。

市販化

 2022年3月に(株)オーレックから市販化されました。価格は、スイーパー本体が23万円(税別)、落葉収集レーキが4.4万円(税別)です。

詳細情報