プロジェクトのご紹介
Ⅰ-地域農業機械化支援タイプ | 6 |
リモコン式小型ハンマーナイフ草刈機 遠隔操作式高能率法面草刈機
農研機構 農業機械研究部門、西日本農業研究センター、
(株)IHIアグリテック、福島県農業総合センター
急勾配法面における草刈作業は刈払機を用いて人手により行われる場合が多く、法面での作業となるため姿勢が不安定で、作業中の転倒・転落事故が多く発生しています。また、中山間地域は平地に比べて法面等耕作地周辺の面積割合が高く、その管理作業が生産者の大きな負担となっており、作業者が安全な場所から効率的に草刈作業を行える草刈機の開発が要望されていました。
そこで、中山間地域の草刈作業の機械化に関して様々な研究開発を行ってきた農研機構に対し、生産現場から改めて作業の省力・軽労化に関する開発・実用化の要望が寄せられたため、 過去に蓄積された研究開発の知見を基に、農研機構、(株)IHIアグリテック、福島県農業総合センターからなるコンソーシアムを結成し、2019年から農業機械技術クラスター事業として実用化に向けた共同研究に取り組んできました。
農業機械技術クラスター事業において現地実証に取り組んだ結果、この度、共同研究企業から開発機の市販化に至りました。
開発機は、リモコンで操作するハンマーナイフ式の草刈機で、主に草刈部、走行部、操作部で構成されています。
走行部は、クローラ式で、車速を0~4.9km/hで調整し、左右の信地旋回注1)、超信地旋回注2)を行うことができます。
草刈部は、ハンマーナイフ式で、刈刃高さを20~200mmの範囲で無段階に調節できます。
操作部は、防塵防水仕様のリモコンを用いており、100m以上離れた場所からエンジンの始動、停止、前進・後進・旋回、草刈部の上下、非常停止等を行えます。
本機は、軽トラックや商用バン等で運搬することができます。
本機の最大適応傾斜角は45°で、搭載するガソリンエンジンは、全方向最大45°までの勾配で運転が保証されています。
草刈作業は、本機を法面の等高線に沿って走行させて行い、法面端にて旋回させて次行程の作業に入ります。この動作を繰り返すことで連続作業が可能となります。
平均斜度36°(最大38°)の急勾配法面において、草丈74cmの条件で、市販リモコン草刈機の2倍程度の能率で作業できることを確認しました。また、平均斜度36°(最大42°)の急勾配法面において、草丈155cmの条件で、市販の歩行型草刈機の2倍以上の能率で作業できることを確認しました。
法面以外では、茎が硬く草丈の大きなセイタカアワダチソウ(草丈136cm)が群生する平坦ほ場において、刈払機による人力作業の2倍以上の能率で作業が行えることを確認したほか、つる性雑草のクズが繁茂した平坦なほ場においても作業を行うことができました。
開発機を使用することで急勾配法面における草刈作業を安全かつ高能率に行うことができることから、生産現場の労働負担の低減に寄与できると考えられます。
2022年6月に(株)IHIアグリテックから先行販売(台数限定)を開始しました。
- (株)IHIアグリテック【製品ページ】:
https://www.ihi.co.jp/iat/shibaura/green/product/hammer-knife-mower/sh950rc.html
【動画(プロモーション)】:https://youtu.be/jI8rBcsfOu0
【動画(ライブコマース)】:https://youtu.be/lIs8a6SdCF4 - (株)IHI プレスリリース:https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2022/industrial_general_machine/1197977_3477.html
- (株)IHIアグリテック プレスリリース:https://www.ihi.co.jp/iat/news/2021/i/pr220215.pdf
- 福島県農業総合センター 令和3年度研究成果集(P15):
https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/501910.pdf - 福島県農業総合センター 研究成果動画:
https://www.youtube.com/watch?v=OLOeIV3YFn4 - 農研機構 成果情報:
https://www.naro.go.jp/project/results/5th_laboratory/iam/2022/22_018.html - 農林水産省 2022年農業技術10大ニュース:
https://www.affrc.maff.go.jp/docs/press/attach/pdf/221226-6.pdf