生物農薬  
天敵線虫によるコガネムシ類の防除

【概要・特徴】
 バイオトピア水和剤は、昆虫病原性線虫であるSteinernema glaseri(スタイナーネマ・グラセライ)を有効成分とする生物農薬(登録番号 第20478号)である(写真1〜2)。コガネムシ類幼虫を筆頭に難防除土壌害虫類に幅広く、優れた殺虫感染力を有している(表1)。
 
【導入効果】
1) 本製品の有効成分であるスタイナーネマ・グラセライ(写真1)は移動分散能力が高く、線虫自らが宿主昆虫を探して感染するとても攻撃的な線虫である。
2) コガネムシ類幼虫、ゾウムシ類幼虫、鱗翅目類幼虫など、生物農薬としては比較的広範な昆虫種に効果がある(表1)。
3) 本線虫は、殺虫活性発現温度域が15〜30℃と広い為、早春から晩秋まで幅広い時期の散布処理が可能である。また、高冷地においても卓効を示す。
4) 本製剤は、生物農薬安全性ガイドラインに基づく評価により、ヒトに対する安全性だけでなく、非標的生物や環境に対する影響性についても問題はなく、安心して使用できる。
5) 本剤は、耐久型ステージの線虫を生きたまま水和剤状に製剤化したものであり、散布液の調製が簡単であり(図2)、他の微生物農薬に比べ化学農薬との混用適合性に優れている。その為、混用や体系防除で利用しやすい。
6) 複雑な殺虫機構のため(図1)、化学農薬のような連用による対象害虫の抵抗性獲得の心配がなく、植物に対する薬害もない。
 
【使用上の留意点】
1)

実用場面において十分な防除効果を得るためには、防除対象とする害虫の生育ステージを把握し、的確な時期に処理することが最も重要である。すなわち、コガネムシ類幼虫の場合、2令後期から3令幼虫が最も本線虫に対する感受性が高いので、成虫の発生時期やコガネムシ種から、その生育時期を予測して処理時期を決定する。

2) 本線虫は乾燥が苦手である。その為散布は、曇天または小雨時に行うことが望ましく、やむを得ず晴天時に散布する場合はできるだけ日没時に実施する。
3) 散布後に茎葉部に付着している線虫を確実に土壌中に到達させるために、散布液と同量程度の水を後散水として実施する。
4) 安定した効果を持続させるために、定期的に散水して土壌中で線虫が行動しやすいように環境を整えることも大切である。
 
【実用化実例】
  本剤の農薬登録を取得する際に実施した試験の一例を紹介する。
  試験場名:(株)日本植物防疫協会(試験は茨城県江戸崎C.C.で実施)
  試験成績:表2 参照
  試験場コメント: 本剤は処理28日後では、25万頭/m2処理は対照薬剤と同様に高い効果を示し、12.5万頭処理では対照薬剤より劣るものの効果は認められる。よって、本剤の25万頭/m2処理は実用性は高く、12.5万頭処理は実用性はあると考える。薬害は認められなかった。
  尚、本製品は2000年より販売を開始し、現在50ヶ所以上のゴルフ場で利用されている。
 
【開発企業・問い合わせ先】
株式会社エス・ディー・エス バイオテック 技術開発部 製品開発室 橋爪 信行
TEL:03-5825-5520
FAX:03-5825-5501

 

 
 
 

 

 

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