新品種等  
褐色系えのきたけ品種・
えのきたけ発生不良の判別技術

 I 褐色系えのきたけ新新種「パキンコ味姫」
【概要・特徴】
 栽培えのきたけは、茎の根本まで白いいわゆる純白系が主流であるが、本来の野生えのきたけは褐色で食味に優れている。本品種「パキンコ味姫」(品種登録番号:第10048号)は、野性味を残した褐色系品種で歯ごたえ、味覚に優れ、5℃の環境下において他品種より生育が早く、収量性が高いなどの特性を有する(図1)。
 
【導入効果】
 食味に優れた本品種の導入によりきのこの新需要開拓を図る。特に、夏場の消費低迷を打開する品種として普及の可能性があり、今後、青果および加工用として年間1,000トン程度の生産を期待している。生産コストは現行のえのきたけと同じである。
 
【導入上の留意点】
 通常のえのきたけ栽培施設で栽培は可能であるが、生育室の湿度が70〜80%の間で調節できること、収穫前3日間は自然光あるいは蛍光灯の光照射が必要である。
 
【実用化事例】
  平成11年より普及し、平成16年度は長野県内4軒の生産農家で32トンの生産を行った。生産したきのこは、食感に優れた新しいタイプのビン詰めナメタケ茶漬け(商品名「旬茸」、「うす塩なめ茸」、「バローのおいしいなめ茸」など;製造者 丸善食品工業(株))の原材料として利用している。平成16年度は30万本のビン詰めナメタケ茶漬けが製造された。
 
 II えのきたけ発生不良の判別技術
【概要・特徴】
 えのきたけ発生不良(図2)を種菌の菌糸体内ペルオキシダーゼ活性を測定することにより早期に判別する技術で、種菌製造における変異早期発見や品種選抜の効率化が図れる。
 
【導入効果】
1)

種菌製造者は、実栽培における芽出し良否の判断に加えて本技術を導入することで、より正確な種菌
の品質管理が図れる(図3〜4)。

2) 生産者は、種菌不良による生産の不安定を解消でき、安定栽培が期待できる。
3) 品種育成者は、育成した新菌株の予備選抜が可能で育種の効率化が期待できる。
 
【導入上の留意点】
1) いわゆる純白系品種に適応した技術で、褐色系の品種や野生きのこには適応できない。
2) えのきたけ菌糸の培養条件、菌糸からの酵素抽出方法等を常に一定の条件で行うことにより再現性が高くなる。
3) 実栽培の芽出しは、芽出し室環境にも左右されやすいので、芽出し不良が遺伝的障害か生理的障害かを正確に把握しておく必要がある。
 
【実証事例】
 長野県原種センター、農協種菌センター等で種菌品質管理の1手法として実証中。
 
【開発企業・問い合わせ先】
I・IIとも社団法人 長野県農村工業研究所 きのこ開発研究部 西澤 賢一
〒382-0084 須坂市須坂787番地1
TEL:026-248-0875 FAX:026-245-1379
E-mail:kennishi@nokoken.or.jp

 

 
 
 

 

 

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