寒地の乾田播種早期湛水直播水稲の収量安定のための窒素施肥技術


[要約]
 寒地の水稲乾田播種早期湛水直播(乾田直播)では、早生品種を早期播種した上で、速効性肥料の側条施肥 6〜8kgN/10aと肥効調節型肥料(被覆尿素40日タイプ)2kgN/10aを使用すると生育量が早期に確保され、安定高収が得られる。
北海道農業試験場・生産環境部・水田土壌管理研究室
[連絡先]01266-3-3005
[部会名]生産環境
[専門] 肥料
[対象] 稲類
[分類] 指導

[背景・ねらい]
   寒地の直播水稲は生育期間が短いため、多肥条件では出穂や登熟の遅延、倒伏をまねくなど、不良環境による減収度が大きくなりやすい。苗立数と穂数を増加することにより着粒数の増加をねらっても、1穂粒数が減少するのである限度以上に粒数を増加することは困難である。このような寒地直播の低収不安定性を改善するため、乾田播種早期湛水直播による栄養生長量の早期確保や生育特性に応じた効率的施肥法を検討した。

[成果の内容・特徴]

[成果の活用面・留意点]
@ 収量の安定は生育初期( 6葉期)の栄養条件による影響が大きいため、出来るだけ早期播種を行い、栄養制御効果を高めることが重要となる。
A 穂数型早生品種の移植は籾数が少なく、多肥では登熟性の悪化を招きやすいが、直播では標準施肥量を側条施肥することにより栄養改善効果が高まる。
B 表面施用した速効性の基肥窒素は利用率が低下するため、側条施肥の位置は3〜5cm(適窒素量6kgN/10a)が望ましい。
C 被覆尿素量は土壌窒素の供給量や気象変動の影響を考慮して調節する必要がある。

[その他]
研究課題名:寒地の水稲乾田播種早期湛水直播における安定多収要因の解明と省力技術の開発
予算区分:経常
研究期間:平成7年度(昭和60年〜63年、平成6年〜9年)

発表論文等:寒地直播水稲の安定多収生産技術、土肥誌講演要旨集34、1987
      乾田播種出芽前入水直播栽培、技術情報協会、1995


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