フォレージマットメーカ

 

[要約]慣行法では予乾が困難とされているアルファルファを対象に、乾燥速度の向上と収穫損失の低減を図るため、刈り倒した牧草を摩砕・圧縮後マット状に成形し、刈り株の上で地干し乾燥する機構を開発した。

北海道農業試験場・作物開発部・農業機械研究室

株式会社タカキタ

[連絡先] 011-857-9265 011-781-1111

[部会名] 総合研究(農業物理)

[専門] 機械

[対象] 農業機械

[分類] 研究

 

[背景・ねらい]

牧草の乾燥速度の向上と収穫損失の低減を目標に、新しい牧草収穫法として生草を摩砕・圧縮して乾燥する手法が注目を集めている。しかし、摩砕や圧縮の機構と乾燥速度の関係については、摩砕の程度によって異なり定量化されていない。慣行法では予乾が困難とされているアルファルファを対象に、この関係を定量化・最適化することにより、摩砕処理動力の低減を図り、摩砕機構の簡略化の方向を解明する。

[成果の内容・特徴]

1. 開発した摩砕・圧縮機構は鉄製ローラ(ボトムローラ)と硬質ゴムローラ(プレスローラ)を用い、ボトムローラの上部にそれぞれ4個のプレスローラを配列する。この機構を2対直列に配置する。プレスローラは、摩砕機能を持たせるためボトムローラに対して角度を持たせ、角度は可変としている(図1) (図2)

2. アルファルファの茎を破砕するためには3Mpa以上の圧力が必要であるが、本機に供給された牧草は圧縮と同時にひねりが加えられるため1.2Mpaの設定圧力で摩砕することができる。

3. 本機の作業幅は1.2m、5.8km/hの速度で5.5kWと極めて少ない所要動力で作業が可能である。

4. 本機でアルファルファ(収量4.67tDM/ha)を摩砕すると、4〜5時間で、40〜50%の水分まで乾燥できる(図3) (図4)。また、葉部の脱落割合は、テッダ区(3回/日)の60%に対し15%と1/4に減少し、あわせて消化率および採食性が向上する。

5. 本機では、従来の反転・集草作業が必要ないため、大幅な省力化が可能である。また、1日で収穫・調製を終わらせることができるため、気象条件の不利な地域でも天候の影響が少なく、高品質な飼料作りができる。

[成果の活用面・留意点]

1. 刈取り後のアルファルファの高品質収穫が可能になる。

2. さらに高能率化のためには、刈取作業との同時工程化が必要である。

 

[その他]

研究課題名:フォーレージマットメーカの開発による迅速・高品質収穫技術の確立

予算区分:新用途畑作物

研究期間:平成9年度(平成8年〜10年)

研究担当者:柴田洋一、西崎邦夫、藤井寿美、横地泰宏、中山有二(株タカキタ)

発表論文等:1)Development of Forage Mat Maker,ASAE Paper 971099,1997

2)Development of Macerator for Drying Forage in Japan, 8th CIGR,1998

 

目次へ戻る