テンサイそう根病抵抗性新品種候補系統「北海70号」

 

[要約]「北海70号」は、国際共同研究により育成したテンサイそう根病抵抗性の単胚・二倍体一代雑種で、テンサイそう根病発病畑では既存品種「リゾール」より高生産性である。健全畑では標準品種「モノホマレ」より生産性はやや劣るが「リゾール」より優れ、褐斑病に対して耐性がある。

北海道農業試験場・畑作研究センター・てん菜育種研究室

[連絡先] 0155-62-9271

[部会名] 作物

[専門] 育種

[対象] 工芸作物

[分類] 普及

 

[背景・ねらい]

テンサイそう根病(以下そう根病と略す)は、ポリミキサ菌により媒介される土壌伝染性のウイルス病で、防除が困難であるとともに、根重と根中糖分を著しく低下させるため生産現場で大きな問題となっている。現在、普及しているそう根病抵抗性品種は生産性が低いことから、そう根病に対して抵抗性を持ち、かつ健全畑では「モノホマレ」並の収量性を示す品種の早期開発が強く要望されている。

北海道農試は、ドイツのクラインワンツレーベン種子会社と、てんさい優良品種の早期育成を目的に国際共同研究を平成4年に開始し、ドイツのそう根病抵抗性育種素材と日本の高糖・高品質、多収性育種素材とを組合せた優良一代雑種品種を育成している。

[成果の内容・特徴]

1. そう根病発病畑では、根重、根中糖分、糖量の各形質が「モノホマレ」を大きく上回るとともに、そう根病抵抗性品種「リゾール」より明らかに優れる。

2. 健全畑では、根重、糖量が「モノホマレ」よりやや劣るが、根中糖分はほぼ同等であり、「リゾール」より生産性が優れる。

3. そう根病抵抗性は「リゾール」並の強である。

4. 褐斑病抵抗性は、「モノホマレ」よりやや強い。

5. 抽苔耐性は、「モノホマレ」並の強である。

6. 根腐病抵抗性や耐湿性は、「モノホマレ」並である。

(表1)(表2)(表3)

[成果の活用面・留意点]

1. 北海道一円のそう根病発病地帯で、既存の抵抗性品種に置き換えて栽培する。

2. 「北海70号」はそう根病ほ場抵抗性を有するが、汚染程度が高いと思われるほ場での栽培は避ける。

3. 根腐病抵抗性、耐湿性が弱いので、これらの発生が懸念される地帯での栽培は避ける。

 

[その他]

研究課題名:てんさいの優良品種

予算区分:経常、総合的開発(高収益畑作)

研究期間:平成9年度(平成4年〜10年)

研究担当者:田中征勝、川勝正夫、蔵之内利和、大潟直樹、野々村睦子、栗原志保

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