網走地方における小豆・大豆の栽培指針


[要約]
網走地方を気象特性から内陸・沿海・山麓地域に区分し、各々の地域における小豆・大豆の適品種、 燐酸施肥法、栽植密度等について策定した安定多収栽培技術の指針である。
北海道立北見農業試験場・研究部・作物科
[連絡先]0157-47-2146
[部会名]作物
[専門]   栽培
[対象]   豆類
[分類]   指導 

[背景・ねらい]
網走地方では輪作体系を改善する第4の作物として豆類の可能性が検討されているが、気 象条件から小豆・大豆については生育不良あるいは生育遅延を生じやすい傾向があり、収量 の不安定性が高かった。そこで栽培の安定化のために、各地域における気象特性および生育 特性を検討して適品種を選定するとともに、燐酸施肥量や栽植密度等の基本技術について検 討を加え、各地域の気象条件に適した安定多収栽培技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 網走地方の畑作地域は平均気温の推移から内陸地域と沿海地域および山麓地域に区分す ることが可能である。沿海地域は小豆・大豆の生育期間前半に気温が低めで後半に高めに推 移し、山麓地域では生育期間後半に気温が低めに推移する傾向がある。
  2. 小豆品種は、内陸地域と沿海地域で「サホロショウズ」の方が安定的であるが、成熟期 が早まる地帯および初霜が遅い地帯では「エリモショウズ」の栽培も可能である。
  3. 大豆品種は、内陸地域では「トヨコマチ」・「トヨホマレ」とも安定した収量性である が、沿海・山麓地域では耐冷性の強い「トヨホマレ」の方が収量性は高く、子実も良質とな る傾向があり安定的である。ただし根雪の早い地帯や成熟期が大幅に遅れる地帯では「トヨ コマチ」の方が安定的である。
  4. 沿海・山麓地域の初期生育が不良となりやすいところでは、標準施肥量よりP2O55 kg/10a程度の増肥が有効と考えられる。
  5. 小豆は密植に伴い成熟期が早まり増収する傾向がみられ、大豆でも密植により増収する 傾向がみられるが、「トヨコマチ」では標準の1.5倍程度の密植が最も多収を期待できる。
    (表1),(表2), (図1), (図2)

[成果の活用面・留意点]

  1. 網走地方での小豆・大豆の安定多収栽培技術の指針として活用する。
  2. 成熟期・耐冷性の強弱等を勘案すると、他の品種や今後の新品種を利用する際にも適用 できる。

[その他]
研究課題名:網走地方における小豆および大豆の生育特性解析と安定多収栽培法
予算区分 :道費(豆基)
研究期間 :平成9年度(平成7年〜9年)
研究担当者:冨田謙一
発表論文等:なし
目次へ戻る