天北地域におけるペレニアルライグラス主体草地の兼用利用
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[要約]
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ペレニアルライグラス(PR)主体草地の兼用利用においては1番草を穂孕期から出穂期までに採草
利用することにより、高栄養の原料草を確保でき、その後の適切な放牧利用により良好なPR割合を維持でき
る。また、PRは乾燥しにくい茎部の割合が高いために、天日乾燥において水分の低下が遅く、気象条件が特
に良好で い限り乾草として調製することは困難であると考えられた。
天北農業試験場・研究部・草地飼料科
[連絡先]01634-2-2111
[部会名]畜産・草地
[専門] 栽培
[対象] 牧草類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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ペレニアルライグラス(PR)主体草地を利用して放牧を効率的に活用するためには、兼
用利用が必要不可欠である。そこで、兼用利用における刈取時期、回数が、収量、栄養価お
よびPR割合に及ぼす影響ならびに乾草調製上の特性について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 兼用区の年間合計乾物収量はいずれも放牧区よりも多かった。兼用区では刈取時期が遅い
ほど1番草の収量は増加したが、出穂揃区は出穂期区に比べ収量の差は小さく(図1)、
TDN収量は低く推定された(表2)。
- 兼用区では放牧区に比べ、PR茎数が少ない傾向にあったが、PR割合は兼用利用を続け
ても経年的に低下することは認められなかった(図2)。また、PR割合は採草利用時にや
や低かったが、その後の放牧利用により回復した(表1)こと等から兼用利用を続けてもP
R割合を維持できると考えられた。
- 以上、PR主体草地の兼用利用においては1番草を穂孕期から出穂期までに採草利用する
ことにより、高栄養な原料草を確保でき、その後放牧利用することにより、兼用利用を続け
ても良好なPR割合を維持できた。
- PRはオーチャードグラス(OG)に比べて、天日乾燥において水分含量の低下が遅かっ
た(図3)。両草種とも、茎部の乾燥速度は葉部に比べて著しく遅く(図4)、
PRが乾燥しにくいのは、茎部の割合が27〜60%とOGの0〜32%に比べて高い原料草であったためと考えられた。
[成果の活用面・留意点]
- 天北地域のペレニアルライグラス主体草地に適用する。
- 茎数の少なくなった兼用利用草地は翌年放牧利用する。
- ペレニアルライグラスの乾草利用については実験室レベルの検討が中心である。
[その他]
研究課題名:ゆとりある酪農経営をめざした放牧による低コスト生乳生産の体系化
ペレニアルライグラス基幹草地の適正放牧方式の確立
予算区分:国費補助
研究期間:平成9年度(平成7〜9年)
研究担当者:佐竹芳世、坂東健、石田亨、中村克己
発表論文等:
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