たまねぎのりん片腐敗病に対する防除対策


[要約]
タマネギりん片腐敗病は道内のたまねぎ主産地で発生が認められ、病徴が明らかになった。防除対策 としては、6月下旬頃から8月中旬頃に薬剤を茎葉散布する。
北海道立上川農業試験場研究部病虫科
[連絡先]0166-85-2200
[部会名]生産環境
[専門]   作物病害
[対象]   根菜類
[分類]   指導

[背景・ねらい]
タマネギりん片腐敗病は、1987年に富良野地区で収穫物の30%が廃棄されるなどの被害を もたらし問題となった。この試験は、本病の発生実態・分布及び発生生態等の解明を行い、 防除対策として有効な手段を検索し防除法を確立することを目的とした。

[成果の内容・特徴]

  1. 本病は道内のたまねぎ主産地のほとんどで発病している。発生量は年次間差が大きい。
  2. 収穫前の病徴は、葉(葉鞘ぎわの場合が多い)に黄褐色の水浸状の病斑を形成しやがて 枯死する。組織はやや軟化が完全には崩壊せず、軟腐病のような腐敗臭はない。枯死した葉 に続くりん片が黄褐色~茶褐色に首の部分から茎盤方向へ腐敗する。
  3. 本病の防除対策は、たまねぎの施肥基準及び栽培基準を遵守する事が基本である。  その上で、次の対策により被害を少なくすることができる。  本病の防除時期は、葉数が最大となり葉部が繁茂し始める時期(6月下旬頃)から倒伏揃 (8月中旬頃)までである。したがって、タマネギ軟腐病の防除時期とほぼ一致するので、 共通して効果のある薬 剤の使用により同時防除が可能である。
    (図1), (図2), (図3), (表1)

[成果の活用面・留意点]

  1. 本成績はタマネギりん片腐敗病の防除対策として活用できる。
  2. オキソリニック酸水和剤(1000倍)、銅(塩基性塩化銅)・プロシミドン水和剤(500倍)、銅 (水酸化第二銅)水和剤 DF(1000倍)はいずれもタマネギりん片腐敗病に対して未登録である。

[その他]
研究課題名:タマネギりん片腐敗病防除対策試験
予算区分:道費
研究期間:平成9年度(平成5~9年)
研究担当者:佐々木 純・青田 盾彦
発表論文等:タマネギりん片腐敗病の発生実態と発生生態,北日本病害虫研究会報,第48
号,1997 ,佐々木 純・長濱 恵・青田 盾彦
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