サツマイモネコブセンチュウのトマト抵抗性品種打破系統の出現と新対抗植物


[要約]
サツマイモネコブセンチュウのトマト抵抗性品種打破系統が道内2か所の加温栽培ハウスで確認された。これ らのハウスでは抵抗性品種の栽培頻度が高かった。新対抗植物として、ソルガム「SS701」及びギニアグラス 「ソイルクリ-ン」の線虫抑制効果が高い。
北海道立道南農業試験場・研究部・病虫科
[連絡先]0138-77-8116
[部会名]生産環境
[専門]   作物虫害
[対象]   果菜類
[分類]   指導

[背景・ねらい]
北海道の加温ハウスに分布しているサツマイモネコブセンチュウに対して、抵抗性トマト品 種が普及しているが、近年、本州などではその抵抗性を破る個体群の発生事例が増え、問題 となっている。北海道においても一部地域でトマト抵抗性品種打破系統が出現した可能性が 高いことから、その出現状況を調査し、発生要因を解析する。また、ハウス内で利用しやす い新しい対抗植物を探索する。

[成果の内容・特徴]

  1. 北海道ではサツマイモネコブセンチュウのトマト抵抗性品種打破系統が、森町濁川 地 区及び伊達市オロフレ地区で発生している。
  2. 打破系統が出現する地域では、トマト抵抗性品種が連続または高い頻度で栽培さ れ、 普通系統発生ハウスでは抵抗性品種の栽培頻度は低い。
  3. 普通系統は抵抗性品種に28℃以下では根こぶを形成せず、30℃以上で根こぶを形成 する。一方、打破系統は22℃から33℃までの温度で根こぶの形成が認められる (図1)
  4. 打破系統は、市販の抵抗性トマト29品種に対して顕著な根こぶを形成し、防除に有 効 な抵抗性品種は認められない(図2)
  5. 打破系統を含めたサツマイモネコブセンチュウに対して、線虫密度抑制効果及び後 作 トマトの根こぶ形成抑制効果を有する新対抗植物として、ソルガム「SS701」及びギ ニ アグラス「ソイルクリ−ン」が有望である(表1)

[成果の活用面・留意点]

  1. ハウス内の温度管理などにより、トマト抵抗性品種打破系統の出現回避に利用できる。
  2. 「SS701」はキタネグサレセンチュウに対する防除効果は低い。

[その他]
研究課題名:「サツマイモネコブセンチュウの抵抗性品種打破系統出現に対する緊急対応」
            「サツマイモネコブセンチュウに対する新対抗植物の効果査定」
予算区分 :道費
研究期間 :平成9年度(平成9年)
研究担当者:水越 亨
発表論文等:
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