てんさいのヨトウガ第2世代に対する防除時期決定のためのモニタリング法
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[要約]
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てんさいのヨトウガ第2世代の防除時期は、50株調査で被害株率が50%に到
達したときである。また、その防除時期を決定するための調査期間は、8℃を発育下
限温度とした4月1日からの有効積算温度で1050〜1300日度が目安となる。
北海道病害虫防除所・予察課
[連絡先]01238-9-2080
[部会名]生産環境
[専門] 作物虫害
[対象] 工芸作物類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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てん菜では、主要害虫であるヨトウガに対して、年間4回の防除が慣行的に行われてきた。
ヨトウガの防除時期を決定する方法として、従来は誘蛾灯による発蛾最盛期を基準とした方
法が指導されてきたが、生産者が扱うには難点が多く、また、ヨトウガの発生状況に応じた
防除が難しいことから、スケジュール防除が広く行われている。平成7年に、これに代わる第
1世代の防除時期の簡便な決定法として、被害株率50%を指標としたモニタリング法を提案し
たが、今回は、これと組み合わせる第2世代のモニタリング法を検討する。このことにより、
生産者は広域的な病害虫発生予察情報を考慮したうえで、自らのほ場における発生状況に対
応した、より適切で効率的な防除を推進することができ、結果として減農薬も可能となる。
[成果の内容・特徴]
- 第2世代の防除時期を決定する被害モニタリングは被害株率を指標とし、防除開始時期
はそれが50%に到達する時期である。この時期は、慣行の第2回目防除の前後(-3〜+9 日)に
相当する(図1)。
- モニタリングによって被害株率50%を指標として第2世代の防除を実施した区は、食害
程度が被害許容水準とした25以下であり、防除効果が認められた。
- 第2世代の防除時期を決定するための調査期間は、8℃を発育下限温度とした4月1日から
の有効積算温度で1050〜1300日度(第1世代で300〜550日度)が目安である(表1)。
- 調査労力と精度とのバランスを勘案すると、調査株数は連続10株を調査単位とする50株
調査法が適当である。
[成果の活用面・留意点]
- 生産現場において、ヨトウガ第2世代の防除開始時期を決定するための簡易なモニタリ
ング法として利用できる。
- ヨトウガ以外の食葉性害虫による被害が問題となる地域では利用できない。
[その他]
研究課題名:てん菜のヨトウガに対するモニタリング手法の開発ー第2世代を中心としてー
予算区分:国費(植物防疫事業)
研究期間:平成9年度(平成4〜9年)
研究担当者:小野寺 鶴将
発表論文等:なし
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