テンサイそう根病ウイルス遺伝子からのウイルス抵抗性遺伝子の探索
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[要約]
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テンサイそう根病ウイルスRNAのコードするいくつかの非構造蛋白質遺伝子を
Nicotiana benthamianaに導入し、得られた形質転換体の自殖次世代にウイルスを汁液接種し
て抵抗性を検定した。一部の植物体では、ウイルスの増殖・移行が遅れる傾向が認められ
た。
北海道立中央農業試験場・生物工学部・遺伝子工学科
北海道立中央農業試験場・生物工学部・細胞育種科
北海道てん菜協会
[連絡先]01238-9-2001
[部会名]生産環境
[専門] 作物病害
[対象] 工芸作物
[分類] 研究
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[背景・ねらい]
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形質転換系を用いてテンサイそう根病ウイルス遺伝子がコードする遺伝子の中から抵抗性
として機能する可能性のある遺伝子を探索し、さらに、その遺伝子を導入した形質転換体に
ついてウイルス抵抗性の検定と評価を行い、抵抗性遺伝子を特定する。
[成果の内容・特徴]
- テンサイそう根病ウイルスRNAがコードする非構造蛋白質遺伝子から8種類の遺伝子(M21,
M22, M23, M24, M25, M26, M27およびM28)をクローニングし、植物発現ベクターを構築し
た。
- ウイルス遺伝子をアグロバクテリウムを用いて Nicotiana benthamiana に導入した結果、
それぞれ3〜5個体のカナマイシン耐性再分化個体が得られた。
- これらの再分化個体の葉からDNAを抽出してPCR法により遺伝子の導入を調べた。その結
果、いずれの個体からも期待される大きさのPCR産物が検出され、目的とする遺伝子が導入さ
れていることが確かめられた。
- これらの個体の自殖次世代(R1世代)種子を採り、R1世代のカナマイシン耐性個体に汁液
によりウイルスを接種したところ、pM27、pM28を導入した植物体では、ウイルスの増殖・移
行が遅れる傾向が認められた。
(図1),
(表1)
[成果の活用面・留意点]
ウイルス遺伝子を導入したNicotiana benthamiana にウイルスの増殖・移行が遅れる系統
が見つかったので、この遺伝子をてんさいに導入することにより、そう根病抵抗性のてんさ
いを作出できる可能性がある。
[その他]
研究課題名:新育種法によるテンサイそう根病抵抗性素材の開発試験
予 算 区 分 :共同研究
研 究 期 間 :平成7年〜9年
研究担当者:齊藤美奈子・楠目俊三・玉田哲男・野村信史
発表論文等:なし
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