道産野菜(キャベツ、ほうれんそう、レタス)の抗酸化力の測定と栽培条件による変動
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[要約]
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野菜のエタノ−ル抽出液添加によるリノ−ル酸の酸化抑制程度で評価した野菜の抗酸化力は、栽培条
件で変化する。抗酸化力の高いキャベツを収穫するには、若採り、窒素施肥量の低減、マルチなどの利用が有効である。
北海道立道南農業試験場・研究部・土壌肥料科
[連絡先]0138-77-8116
[部会名]流通利用部会
[専門] 食品品質
[対象] 葉菜類
[分類] 指導
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[背景・ねらい]
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消費者は食品に含まれる疾病予防などの生体調節機能を有する成分、即ち三次機能性成分
に関心を持っている。道産野菜の三次機能性成分(抗酸化力)の実態を調査するとともに、
抗酸化力が高い野菜を収穫する方法を明らかにすることで道産野菜の品質向上に貢献する。
[成果の内容・特徴]
- リノ−ル酸に酸化剤(AAPH)を添加し6時間後の過酸化脂質生成量を野菜のエタノ−ル抽出
液添加条件と無添加条件で測定比較し、野菜の抗酸化力を評価できる(図1)。
- 抗酸化力が高いキャベツを穫るには、球重1kg以下(現行1.2kg)での若採り、窒素の減
肥、マルチまたはトンネル被覆による順調な初期生育の確保が有効な方法である(図2)。
- 抗酸化力が高いほうれんそうを穫るには生育速度の遅い品種の栽培が有効で、窒素および
カリウムの増肥で抗酸化力は低下する(図3)。
- レタスの抗酸化力は、「オリンピア」(葉数タイプ)では、若採りしたものほど高い。
「カルマ−MR」(葉重タイプ)では窒素減肥と遅どりしたものほど抗酸化力は高い。抗酸
化力が高いものほど、収穫後の外観品質の劣化は小さい(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- キャベツは抗酸化力が高いが、個体間差は大きい。栽培方法を改善することで、この特性
を一層高めることは可能である。
- 成果の内容2.〜4.は機能性成分の向上を重視した栽培上の留意点である。
[その他]
研究課題名:販売戦略強化に向けた道産野菜の機能性成分の評価
−キャベツ等の抗酸化力の測定と栽培条件による変動
予算区分:道費
研究期間:平成9年度(平成7年〜9年)
研究担当者:中村隆一・元木征治
発表論文等:道産野菜の機能性成分 第1報 キャベツの抗酸化力の実態と変動要因
日本土壌肥料学会 講演要旨集、第44集、1998年
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